第37話

・・・ジリジリ・・・


「しかし広いなぁ・・・」

「ねぇ〜・・・」


この11階層は地球の様に若干丸みをい帯びた大地の様で、地平線が見える。あのトンボが空を飛んで見えなくなる距離ということは、確実に10kmは超えている。


次の階層に向かう為には、広域の探索を行う必要があり、帰る為には地図が必須と言って良いだろう。


恵奈も琴音も地図の見方がわからない点を省くが。


「これはマップ系のスキルを取らないと絶対に迷う!」


幸いなのは、これまでダンジョンを潜る時に地図を地道に記入していたからか恵奈のスキル取得可能一覧に【地図生成】というものが確認できた事だ。


なので、これ幸いと言わんばかりに取得した。


「うわ凄い!」


すると、視界の右上にゲームの様なミニマップが表示されたではないか。しかも意識すれば拡大縮小ができ、自身は青い矢印で、見方もしくはパーティーメンバーである琴音は緑の矢印で表示されている。


しかし、マップは表示されているが、範囲は狭い。


レベル1なのでしょうがない。


「へぇ良いなぁそのスキル!琴音も欲しいけど、無いんだよね〜・・・」

「基本的に二人行動だし私が使えれば大丈夫だよ!」


という事で、探索を開始!


「ねぇ琴音ちゃん」

「なに恵奈ちゃん?」


と、行きたい所だったが、恵奈は一つ検証したいことがあった。


「実はね、コレの性能検証がしたいんだけど少し良いかな?」


恵奈が掲げるはDSMR-01。


そう。今まで狭い洞窟タイプのダンジョン攻略だったので、遠距離から攻撃できる武器だったとしてもその出番はなかった。しかし、ここは広大な草原フィールド。


現在地は11階層の入り口地点だが、ここは丘の上。


つまり上から狙い撃つことが出来る。


遠目から見ても赤トンボ以外の虫型モンスターが確認できる事から、この場所は絶好の狙撃ポイントとして利用できる為、DSMR-01の性能検証にはもってこい場所である。


「いやぁ〜やっと本来の性能検証が出来るよ!」

「そういえばソレDSMR-01って狙撃銃だったね」

「忘れそうになるよね〜」


基本的に腰撃ち。

スコープは覗かない。

めちゃくちゃ動き回る。

そして凸砂。


FPSプレイヤー宛らの行動をしている。


本来の狙撃銃は、動かないで長距離からの攻撃に専念するものだ。リアルの軍属の狙撃手さんが今の恵奈を見たら、きっと頭を抱えてこういうだろう。


Holy Shit!


さて、それは兎も角。


「んじゃやってみるよ!」


まずは普通に通常弾を充填した弾倉を装着。ボルトを引いて装填。地面に伏せて伏せ撃ち体勢を取る。


なんだかんだ初めてこの体勢をとったなと思いつつ、きちんとスコープを覗く。最近は岩肌ばかり目が入っていたので、明るい景色がレンズの奥に写るのはとても新鮮だ。


「あ、あれ丁度良いかな」

「どんなモンスター?」

「セミ・・・アブラゼミかな」


夏になると煩く鳴く茶色い羽を持った虫である。ステータスにより強化された聴力が、何処となく”ジリジリジリッ”と聞こえる耳障りな音の正体は、このモンスターから発せられている。


スコープの十字線レティクルが長距離に存在するモンスターと重なる。


「距離は・・・大体1000mくらいかな?」


職業特性:狙撃技術により、スコープの調整方法やら偏差狙撃の方法。及び【弾道予測】による未来位置の予測補正。これらの能力を統合運用することにより———


「撃つ!」

バシュッ‼︎


飛翔。到達した弾丸は、モンスターを正確に射抜いた。


初撃だった。


「うわっ⁉︎・・・と、そうだったね。また驚いちゃったよ」

「驚かせちゃってごめんね」


倒したモンスターのドロップアイテムが恵奈の隣に転移してくる。それは【戦利品回収】の効果であり、琴音も当然知っていた。


が、いきなり出現するので驚くのもわかる。


「1発だったね。1kmでしょ?凄いじゃん恵奈ちゃん!」

「結構当たるもんだね!もう少し試してみても良い?」

「良いよ良いよ〜」


と、琴音が周辺警戒を行ってくれるとのことなので、十分に検証する時間ができた。


この時間を利用し、恵奈は標的と定めたモンスターに対して攻撃していく。1kmは余裕だったので、徐々に射程距離を延長していく。


その時。


「おっ?」


凡そ1800m辺りからモンスターへ与えるダメージが減少してきたことを確認。そして2000mを超えると一撃で殺害することが困難になってきた。


ただ徹甲榴弾や徹甲弾、榴弾を使用するとその限りではないらしい。


「そう言えば【狙撃銃ステータス】なんてのあったよね・・・」


今まで使用する機会がなかった為、すっかりとその存在を忘れていた。


スコープから顔を離し、一旦伏せ撃ち体勢をやめ、ステータスを開く。


—————————————————————————————

名前:DSMR-01

種別:ボルトアクション方式対物ライフル


【仕様】

使用弾薬:12.7x99mm弾

装弾数:現状5発

全長:1480mm

重量 12.8kg(スコープ非着装)


【装備アタッチメント】

・10×タクティカルスコープ(標準仕様)

・バイポット(標準仕様)

・マズルブレーキ(標準仕様)

・通常弾倉(標準装備)

フルール・ド・リスレイアウト


【ステータス】

レベル:34

スナイパーポイント:41

発射速度:825m/秒+

有効射程:1800m+

射撃間隔:10+

命中確率:100+

致命傷率:100+

—————————————————————————————


「あったあった、ステータス・・・」


これを弄って射程を伸ばそうか。

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