第5話 シスター③
「よし、アンケートだぞ!!キャラメイクだぞ!!」
サグは楽しそうだ。
僕にもやった一問一答である。
「よし、まずは名前からだぞ!!」
「私の名前は 瀬戸 美智子といいます。」
「じゃぁ、瀬戸ちゃんだな。わかったぞ!!」
ちゃんとした名前が決まっている瀬戸ちゃんに若干の嫉妬をした。
僕は前世の名前を思い出せない。まるでそこの記憶だけ奪われたようになっている。おそらくはサグが記入していた以前書類によるものだろう。
僕みたいに変な名前にならないのかな。
セトミチコじゃなくてセトチ●コとかにならないかな。
「さて、異世界転移者の職業は転生者より更に狭いぞ!!職業は修道女……いや、宣教師兼先導者だぞ!!現世に降りたら、前世の力を用いて私の名前を世に広め、私の信者を増やすんだぞ!!」
転生者とは違い転移者は完全な異物だ。
サグが与えたギフト以外は……
「承知致しました、サグ様。ところで、どのような方へ布教すべきとかありますか???」
「誰でもいいぞ!!私を祀るんだぞ!!瀬戸ちゃんが導くんだぞ!!」
サグ教の教えなどそこにはなかった。
神が小学生。宣教師兼先導者が高校生。
サグ教すぐに滅びそうだな。
「わかりました。頑張ります。」
社会人なら発狂するレベルの放任であるが、瀬戸ちゃんはやる気である。それが経験不足によるものなのか、本人の気質によるものなのかわからない。
正直、すぐに死んで川流しになって貰いたいところだが……
「さて、能力だが……略奪のギフトを渡してやるぞ!!」
略奪
ルールを決めて倒せば相手の物を奪えるぞ!!
「そんなギフト要りません!!なんですか、その非道なスキルは!!」
「瀬戸ちゃんが正しいルールを決めて、相手と話合って決めてくれると思ったんだぞ……」
サグはサグなりに考えていたのだ。
それなのに、瀬戸ちゃんはサグを奪い神というだけで邪険にする。
そんな奴には言うことがある。
「お前は正義の面を被った悪だ!!小さな女の子を傷付ける奴、それを僕の前世では悪という!!」
「私はそんなつもりは……」
瀬戸ちゃんは狼狽しているが、そんな彼女に僕は畳み掛ける。
「よく見ろ!!生まれながらに奪い神のサグは心だけは優しい女の子なんだ。」
「そうだぞ!!私は優しい女の子なんだぞ!!」
僕は瀬戸ちゃんを説得して彼女を前世へと見送った。
「瀬戸ちゃん、頑張るんだぞ!!期待してるからな!!」
サグの心地好い声が響き渡った。
瀬戸ちゃんはサグからの期待。僕からの嫉妬を背負い現世へと旅立った。
「ジャク、中々のフォローだったぞ!!気に入ったから、私が世話をしてやるぞ!!」
サグからはそこそこ評価を貰えたようだった。
瀬戸ちゃんが現世の活躍を期待しつつ僕はサグの元で暫く世話になることになった。
「次はドジっ子メイドとか呼び出したいぞ。きっと皇族とかに私の宗派を広めることができるぞ。」
名簿 0002
名前 瀬戸 美智子 (瀬戸ちゃん)
信仰 サグ神
ギフト(能力) 略奪
転移者特典 後日配布予定
望み 世界を導く
サグちゃんはたぶん邪神(仮) 工藤 隆久 @kudo-takahisa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。サグちゃんはたぶん邪神(仮)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます