第4話 シスター②
話が違うんだが……
サグちゃん話がわかる奴を狙うって言ってたじゃん。
僕たちは少し彼女から離れ、話を聞く。
「おい、間違えたってなんだ?」
「違うぞ。ジャクが思っているのとは更に違うぞ。」
は?更に?何を言っているんだ?この邪神。
「あの女子高生の何が違うんだ?何と何を間違えたんだ?」
「私は今回、話の主役になれそうなキャラとして生徒会長を狙ったんだぞ!!アニメとか漫画とかでよくある設定だぞ!!」
まず、そこが間違い!!
僕が言ってたのはアニメとかよく知ってる半分引きこもりタイプの人種なんだよ。
生徒会長は真面目な奴がやるんだよ。
アニメとか漫画はあくまでもフィクションなんだよ!!
アニメや漫画みてる奴はひっそり自分の世界を楽しみたいんだよ。
話の共有はSNSの顔を知らない友達だけで十分なんだよ!!
「アニメや漫画を見てそうな生徒会長なんていないんだよ。僕の感覚ではヲタクの対極なんけど...どっちかと言えば、品行方正、才色兼備みたいなイメージじゃないか?」
「え!?生徒会長って内申点が欲しい真面目系オタクがやってるんじゃないのか?」
「やめろ!!実際そういうのもいるのかもしれないけど、僕の中の生徒会長イメージを崩すな!!」
「だが、ジャク考えてみろ。アニメばかり見ているオタクよりも、誰かから、何かしらの評価を受けたことのある生徒会長の方が応用力は高いぞ。健康だけが取り柄の引きこもりなんて現世に行ったとたんに死んじゃうぞ!!」
悪かったな。現世に行った途端に死んだ健康だけが取り柄の引きこもりで!!
「ただ、あの生徒会長。生きてるんだぞ。」
は?なに?どういうこと?
「間違えて、生きた状態で連れて来ちゃったぞ。」
「何か悪いのか?」
いや、言ってみれば拉致ということだから悪いんだが……死んで魂になったとはいえ、僕も拉致されたようなもの……
「悪ではないんだぞ。強いて言えば、肉体性能が悪いぞ。ジャクはすぐに死んだけど、転生者特典で強い肉体は約束されていたんだぞ。でも、転移者は肉体はそのままだから性能が悪いんだぞ……」
悲しそうな顔で視線を落とすサグを見ていると神なのか小学生なのか本気でわからなくなってしまいそうだ。
「あの神様。そろそろ教えて下さい。私は生徒会室にいたはずなんです。」
その声を聞き、サグは彼女の前に立つ
「お前は選ばれたんだぞ。この世に私が率いる宗派を世に広めるために私が呼んだんだぞ!!」
サグは堂々と嘘をつく。まぁ「死んでるかと思って連れてきちゃいました。」なんて口が裂けてもいえないだろう。
「私は何も出来ませんし、したくありません。奪い神って、つまりは悪者ですよね?」
「悪ではないぞ!!失礼だぞ!!」
他人の物を奪う神が邪神でない理由を述べよ。そんなものに答えは無かった。
何を言ってもそれは言い訳だ。
日本人は変な宗教の勧誘は原則お断りだとサグに教えておくべきだったかもしれない。
「人の物を奪うなんて最低です!!」
「神が人の物を奪って何か悪いのか?」
これがおそらくは神の感覚なのだろう。
生徒会長と、というよりは全人類と馬が合わなさそうだ。
「確かにサグは奪い神だ。だからと言って悪者とは限らないんじゃないかな。」
僕が口を挟んだ。もちろんそんなことは思っていない。サグちゃんはたぶん邪神で悪者だ。
だが、それでも僕の立場ではサグちゃんを肯定しないといけないのである。
「それは神様の力が悪いのではなく、使う人間が悪いということですか?」
いや、僕はそんなこと言ってないし、サグも当然だが考えてないはずだ。
「私たち神は人間の善や悪なんて考えないんだぞ!!もし、気にくわないなら私の力で善行してみるんだぞ!!」
サグちゃんは堂々としたものだった。
そしてその場には神の声が響き渡る。
少し悩んだように見えたが、生徒会長はこう呟いたのだった
「私に世界を導けと……」
いや、そこまでは言ってない。
自己肯定感高過ぎだろ。
生徒会長の目の色が変わったように思えた。
真っ直ぐサグを見て先ほどまでの戸惑っていた彼女の姿はなかった。
「神様。いえ、サグ様。私がサグ様の名前を世界に轟かせてみせます!!そして信徒を、いえ、世界を導いてみせます。」
こいつ大丈夫か?
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