第46章| 荒巻-持野-足立トリオ、始動! <3>荒巻スタイル
<3>
「・・・・・・・・・ふぅ~」
荒巻先生がいなくなったあとの事務所で、持野さんが可愛くため息をついた。
「ま、荒巻先生ってあんなカンジ。鈴木先生とはだいぶ違うと思うから、驚くことも多いだろうけど頑張ろうねッ」
「はいっ。ところで私たちは、どんな事務作業をするんでしょうか・・・・・・」
「そうね~。メールの返信、スケジュールの調整、面談記録の作成に健康診断結果の判定、職場巡視。色々あるよぉ。荒巻先生は契約先の事業所がダントツ多いから、細かい作業がい~っぱいあるの」
「でもそれって、産業医の先生がされるお仕事も入っているような・・・・・・」
「うん。荒巻先生は、基本保健師に全部任せる、ってスタンスなの。だから最終チェックはしてくれるけど、産業医業務もすべて先に保健師が下準備っていうか、ほぼ仕上げておいて、承認だけしてもらうイメージ」
「そうなんですね・・・・・・。慣れてきたら保健師にも出来る仕事はありそうですし、勉強にはなりそうですけど・・・・・・」
「前向きに捉えるなら、そうかもね。定型業務は私でもそれなりにこなせるし。例えば健康診断で『A判定:異常なし』がついている人は基本的に通常勤務可能としていい、ってことは、見ればわかる。でも迷うようなケースでは一人じゃ決められないこともあるんだよねー。ま、荒巻先生も聞けばすぐ教えてはくれるんだけど」
「あと、夜の接待もあるんですよね? 」
「あれは荒巻先生が勝手にやってる、半分趣味みたいなものかな~。保健師はたまにしか付き合わされないから安心して。
荒巻先生って、あのノリとキャラだから顔は広いの。で、思い切って起業するようなベンチャー社長には特にウケがいいみたいで、何かと案件頼まれてくるんだ」
「なるほど・・・・・・。確かに鈴木先生とは違うタイプの産業医って感じがします・・・・・・」
荒巻先生は嵐みたいだ。
鈴木先生が『静』なら、荒巻先生は『動』って感じかな。と思った。
「うん。面談スタイルも変わってるよぉ~。見れば分かるけど、最初は驚くと思うから覚悟してね。さ、じゃあさっそく、事務作業に取りかかろっか」
持野さんが書類の束をドンと机の上に置いた。
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