産業保健師 里菜の勉強ノート㉖ 【障害者数】/【障害者手帳の発行状況】/【障害者雇用・難病患者雇用】/【ノーマライゼーション】→【Episode③】(完)

【障害者数】

内閣府が発表している「“障害者の状況”(https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r03hakusho/zenbun/siryo_02.html)」によると、日本において「身体障害者」「知的障害者」「精神障害」の3つの障害区分に該当する者の概数はそれぞれ以下の通り。

・身体障害者:436万人

・知的障害者:109万4千人

・精神障害者:419万3千人

人口あたりで見ると、身体障害者は1000人に34人、知的障害者は1000人に9人、精神障害者は1000人に33人となり、それぞれ単一の障害ではなく、複数の障害を持っている人もいるため単純に合計人数にはならないが、およそ人口の7.6%が何らかの障害を持っていると考えられる(※身体障害者については、高齢者の割合が突出して高くなっている)。



【障害者手帳の発行状況】

*65歳未満

身体障害者手帳所持者は108万2千人

療育手帳所持者は79万5千人

精神障害者保健福祉手帳所持者は59万4千人


*65歳以上

身体障害者手帳所持者は320万5千人

療育手帳所持者は16万8千人

精神障害者保健福祉手帳所持者は24万7千人



【障害者雇用・難病患者雇用】

障害者雇用に関連する法律としては「障害者雇用促進法」「障害者差別解消法」「障害者虐待防止法」「障害者総合支援法」「障害者優先調達推進法(国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律)」などがある。

その中でも「働く」ということに関して核となる「障害者雇用促進法」では障害者の法定雇用率(民間企業の場合は従業員数43.5名以上の企業が対象)を定めており、その割合は2023年度時点で2.3%だが、2026年度には2.7%に引き上げられることが既に決定している。法定雇用率以上の障害者を雇用しない場合、企業側には納付金を納める、行政指導を受ける、などのペナルティが課される。

障害者としてカウントする対象になるのは、各自治体から発行される「障害者手帳」を保有している人。近年の法改正では、重度障害者のダブルカウント、週10時間以上20時間未満で働く短時間勤務の障害者についても雇用率に反映させることなど、実状に合わせ柔軟に障害者雇用が実現できるよう法整備が進んでいる。また障害者雇用に伴う助成金制度もある。一方で「障害に対する合理的配慮」の程度は個別性が高く、障害者と事業主との“相互理解”の中で提供されるべきものであり、事業主に「過重な負担」を及ぼすことになる場合は除く、とされている。

また難病患者への就労支援策としても、難病相談支援センターとハローワークの連携制度、助成金制度などが作られている。障害者や難病患者の雇用にあたっては、治療と仕事の両立支援、主治医との連携、職場への定着支援などで、事業場内にいる産業保健職の活用も望まれる。

➣関連ワード「合理的配慮」



【ノーマライゼーション】

「障害のある人が障害のない人と同等に生活し、ともにいきいきと活動できる社会を目指す」という理念。英語で「normalization」とは「標準化・正常化」、または「常態化」のことであり、“以前は特異と思われていたことがあたりまえの状態になっていること”という意味を含んでいる。ノーマライゼーションの実現においては、障害者側が変わるだけではなく、周囲の環境を変えるという視点が必要となる。障害には個別性・多様性があり、全ての障害者が健常者と同じ職場環境下で働く必要はないが、本当の意味でインクルーシブな社会を目指すには、障害がある人だけを集めて“専用の別のところ”で働いてもらうやり方ばかりでは、十分とは言えない。

➣関連ワード「バリアフリー」「ユニバーサルデザイン」





『ハ タ オ ト !~働くオトナの保健室~(産業医と保健師のカルテ)【Episode③】』(完)



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読者の皆様へ


 ここまでお読みいただきありがとうございました。


 Episode③を無事に最後まで公開できたことを嬉しく思います。皆様の日々のアクセスが本当に励みになりました。感謝致します。


 なお今回のお話に出てきた「分身ロボットカフェ」は、実在している某お店を参考に描いています。この作品はフィクションですので、実在のお店と完全一致ではないこと、公式の方に了承を頂いていないことから具体名は載せませんが、私自身もお気に入りの場所でたびたび訪れています。東京都日本橋付近にお立ち寄りの際、ご興味があれば是非行かれてみてください(最近混んでいるので事前予約をお勧めします)。


 働く人を支える産業保健職の楽しさと面白さ、難しさ。少しでも伝われば嬉しいと思いながら「ハタオト」を書いています。今回のEpisode③までで、「第一部」が終了したようなイメージです。いったん少しお休みを頂いて、また「第二部」Episode➃を書いていきます。ひとつひとつのEpisodeは読み切りですが、『株式会社E・M・A』の謎や、鈴木先生と一緒にいた美女の件なども、徐々に次回以降の作品内で明らかになる予定です。


 拙いながらも一生懸命、言葉をひねり出して紡いでいるこの作品。

 ゆっくりですが作品全体のラストまで諦めずに書きあげていきたい所存です。


 かまくらはじめとこの作品にも、どうか温かい応援を頂ければと思います。

 

 ご意見・ご感想などがございましたらお気軽にコメント下さい。

 「ブックマーク」「レビュー」頂けますと泣いて喜びます。


 Twitterもやっています(https://twitter.com/@Goto_Kamakura)。 

 面白かった!と思って頂けましたら、ぜひ拡散お願い致します。


 働く大人の皆さまに、今日も幸せがありますように! 


  

                   作者:かまくら はじめ より 



※次Episodeのスタートは2023年5月下旬~6月ごろを予定しています。

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