産業保健師 里菜の勉強ノート⑫【適応障害】/【DSM】/【ICD】

【適応障害】

日常生活の中で起こった出来事や環境に対してうまく対処できず、心身に様々な症状が現れて社会生活に支障をきたす。ストレス原因が明確であり、それに対して過剰な反応が起こった状態をいう。症状はゆううつな気分、不安感、頭痛、不眠など、人によって様々だが、仕事や学業などを続けたり、対人関係や社会生活を続けたりすることに問題が生じる状態となる。これらは一般的に正常な人にも現れる症状だが、適応障害の場合は通常範囲を超えた過敏な状態となる。治療にはまず原因となっているストレスを軽減し、心理的に回復させることが必要。場合によっては薬物療法が必要なこともある。

アメリカ精神医学会のDSM-IV-TRによると、適応障害の一般人口における有病率は、約2~8%と推測されている(つまり、100人に2~8人の割合で発症している)。DSM-5によれば、精神科治療を受けている人のうち、適応障害を主診断とする人の割合は5-20%とされていて、一般的にも多くみられる疾患(状態)である。ストレス状況が改善しない場合には、症状が悪化してうつ病へと至る場合がある。

➣関連ワード「DSM」



【DSM(でぃーえすえむ)】

DSMは、アメリカ精神医学会が出版している、精神疾患の診断基準・診断分類。正式名称は「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」といい、その頭文字を略してDSMと呼ぶ。DSMは、精神疾患の基本的な定義などを示したもの。国際的に利用されていて、日本でも精神疾患の診断に用いられている。随時改訂がおこなわれていて、現在は第5版「DSM-5」(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)が最新版となっている。

ICDがすべての病気を対象としているのに対して、DSMは精神疾患を対象とする。また、ICDとDSMでは分類が異なる病気もある。

➣関連ワード「ICD」



【ICD】

ICDとは世界保健機関(WHO)が作成する病気の分類のこと。「ICD」は略称で、正式名称は「International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)」という。2018年に約30年ぶりに改訂され、「ICD-11」として公表された。


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