第18話 羊頭狗肉の志
僕は、もう諦めた。
これをやり遂げたとしても、奴は復活するかもしれない。
それに、僕の力では、龍を倒すことなんてできない。
もう、いいんだ。
何もかも忘れて、気楽に生きることにした。
そうだ。絵描きになろう。
旅をしながら、絵を描いて、それを売って生きる。
そんな生活で、十分じゃないか。
龍を倒すなんて、飛んだ大言壮語……言うなれば、羊頭狗肉の志だったんだ。
4年後。
今では僕らは解散し、個々の目的で旅を続けている。
まあ、僕は旅の画家として上手くやれているよ。
「よう、久しぶり」
突然、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
振り向くと、カイムがそこにいた。
「久しぶり、カイム。元気してた?」
「おう、こう見えて、風邪ひいたことはないんだぜ。それより、ギデオネル討伐されたらしいぜ」
「ああ、そう……」
いずれそうなるとは思ってはいたけれど、反応に困る。
「リアクション薄いな、あの時は何度も泣きじゃくったくせに。介護大変だったぜ?」
「まあ、4年も経ったしね……。そうだ、ええと、カイム……」
「なんだ?」
「……こんなどうしようもない僕に付き合ってくれて、ありがとう」
今言わないと、伝えられなくなる気がした。
「どうしたんだよ、急に」
「どうしたって……、はは、そうだね」
羊頭狗肉の志 螺旋階段X-4号 @rsnkifn
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます