ドリームメーカー

国作くん

第1話

 あるアパート、学生寮の一室。月の光が部屋に差し込む夜。


 アニメのキャラクターが描かれた本、フィギュアが散乱する部屋の中で。


 石田ヒロトはうずくまっていた。


 表情に余裕は見られない。脇腹を抑える手は鮮血で濡れている。


 その血は周りの壁に飛び散っている。壁のところどころに、刃を振り回したような跡が見える。

 

 そんな、殺風景な部屋の中で、ヒロトを見下ろす少女がいた。


「案外、あっさりやられるものね」


 フードを被った少女は吐き捨てるように言った。口にタバコをふかしながら。


 少女は、何か言おうとしているヒロトを蹴ることで、黙らせる。


 そしてそのまま、ヒロトに向かって手を突き出した。


「まあ、悪く思わないで。それは、お互い様でしょ?」


 少女に圧倒され、地面を手についたまま後ずさるヒロト。


 その手を少女が握る。笑顔を顔に張り付けながら。


 バァン


 その瞬間、ヒロトの体は内側から破裂した。


 少女は返り血を浴びるが、まったく動揺しない。


 後には、ヒロトの肉片らしきものだけが残っていた。


「あと一人、か」


 少女はタバコを投げ捨てる。その瞬間、部屋から少女の姿は消えた。


 後には、タバコの吸い殻だけが残っていた。

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ドリームメーカー 国作くん @Kokusaku

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