空の方舟

ややまるい言葉の先に佇んだきみは勿忘草の目をして

やさしくなれたらいいのに 寝起きのお茶漬けみたいな速度でもって

月からの卵を卵焼きにする 生きる わたしは少女ではない

祈るとは理由のすべてを消し去って最上階から飛び降りること

手垢まみれのガラス瓶みたいなぼくだけどアカザの花はゆるく輝く

骨片を拾って歩く 嵐の街でも生きるがために

クラゲはね内臓が透けているからねきみのきもちも透けていてくれ

感情が激しいことを感性が豊かと呼んだきみのゆたかさ

うつくしい日々の記憶をたずねては夕陽のあいに生かされている

きみのしるぼくじゃなくても愛してね 愛って決意と誓いなのだし

造花は透明、愛は人工物、それでもきみは笑っていてくれ

花を待つ きみはぼくよりゆるやかに下降していく命の砌

すぐに詰むパズルゲームレベル300 鶏肉で作る肉じゃが

パブロンとブロンの違いがわからないストロングゼロの味に似ていて

きみの手が花冠をつくる気がしててゆるりと頭を垂れてしまう

クロッキー帳がぐちゃぐちゃきみがすぐ動くしこっちを向かないせいで

きつねとか雲とか食パンとかに、似ているというより似つかわしかった

だーいすき(いつか忘れられるとしても、きみが先に死ぬとしても)

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