世界のすべてが君でないとしても

星をうむ 太陽のようらしいから世界を焼いて作り替えます

ぼくたちの世界のすべてが君でないとしても廻る地軸の傾斜

わたしたち一番星にはうまれない 君だけを十字架に架けない

夕闇の女ですので! 一振りの魔法のかけられかたにご注意

世界ですか? 君ですか? ここはもう令和ですけど大丈夫そう?

昔見た夢の続きをしない 未来上昇志向ですのでこちら!

わたしって選ばれている人間なので林檎はぜんぶ食べちゃったから

もしかして君って翼がないんです? あ〜あ! よかった! わたし天使で!

心臓をふたつに割って縫い付けてこれがほんとの時限爆弾

朝焼けの斜陽がまぶしい季節になってロングコートの裾が広がる

履き慣れた靴が厚底だったので等身大できみのもとまで

声をきく 東京からは逃げられないぼくに降り注ぐ波音

はじまりもなければおわりもないけれど未来って生きるってきっと

まぼろしでなくてもうつくしいものにローズゴールドの枠を翳す

明日しぬぼくだとしてもやや長い睫毛のむこうを抱きしめ眠る

往復の電車で眠ってしまったので背骨をひとつ置きわすれたらしい

わすれずにおぼえたままでいてほしい いつかは灰になる夢でも

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