回送北極行き
しあわせもののぼくは何にもなれなくてふしあわせじゃなくて、ごめん
東京の雨がぜんぜんぜんぶない 明るい道ではいきができない
うつくしい呪いはすべて脅迫文の端に折りこむねむりのうた
さよならの季節を春に決めた人は世界にやさしかったのだろう
世界が始まってから千年旅をした なにも見つからなかったけど
約束をしてください ぼくが神様じゃなくても花束ください
世界の端で手をつないでも向こう岸へ行かなくてもブランコに乗ろう
メリーゴーランドが好きでコーヒーカップが好きだった もう行けない
十六のこころと運命を置いてきた ぼくたちは大人になれない
自家製でハンドメイドでかわいくておすすめ期間限定の生
この夜にいたはずのこころをおもう 排水溝の髪の毛のよう
好きでしょう?みたいな顔のデパコスを同族嫌悪 かわいくはない
あと数分で世界がおわるのでいっしょにケーキを食べてください
運命はだれにでもない 運命を信じるぼくがいてほしいだけ
アンチていねいな生活です というよりアンチ生活です 以上
関係のないことばかりおじょうずになる 終電の帰り方とか
もういちどなんてないからいまだけは靴を片方隠す街灯
僕はまだミトコンドリアじゃないみたい 排泄される塵ですらない
宝石をたくさん詰めてゆめだった魔法少女になれはしない夢
掃き溜めの街はぜんぜんうつくしくなくて吐精とちょっと似ていた
手足とか言葉も視線もぜんぶうそ この街にいるぼくはいません
裸足で逃げ出した 漫画の主人公になるほどマカロンも似合わない
ぼんやりと手折る名前をしらぬ花みたいに細い茎ですらない
コーヒーの割れた欠片のどこかにはライムライトはうつりはしない
置かれた場所で咲くつよさがあります 染まった色はぜんぶうそです
北国へ行けはしないか 風の吹くほうへずうっと歩いていけば
おまえの名をしらない おまえの声をしらない おまえの温度だけ知っている
コンビニで売ってるようなお手頃の愛なら秒で補充されていい
さがしても埋葬してたはずの骨なんてどこにもなくて南無三
飛び乗ったはずの電車で待ちぼうけしたまま車庫へ運ばれて、終
公共の電波に乗せて返答のない声ばかりつづるおととい
ごまかしと仏の顔は三度まで 四度目からは焦熱地獄
食べかけのあめは完食してください 空腹でしぬこどももいるので
絶望は計画的に 積み立てた信用なんて吹けば飛ぶもの
おぼれてた夜のあいだの深い青ばかり煮詰めた鍋から死臭
空き缶をかぞえていたら両腕の指がいくつあっても足りない
最短で最安値で超簡単にハッピーになりたいよ 皆々
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