日替わり生死

おはようとだれにも言えず窓ぎわのいきものだけに言う朝がくる

手のひらでおちないように呼びかけた名前はいつか灰になってる

こぼれ出した何もかもが真実だ 斜め四十五度のあなた

まちがえて作っちゃった水切りヨーグルト、クリームチーズ亜種の味

おぼれることは生きること 息を継げないので死んでいるのとおなじ

明日生きてたらまあまあやりたかったこと、ばかりで死んでいくだろう

自販機のミルクセーキはおいしくない だけど外気温よりはマシ

明日にも電車のダイヤは変わらない 始発はいつも五時二十二分

革命の鐘を鳴らして遠くまで塀の中まできこえるように

土を吐くのを辞めてみたい 星を食べるのも辞めてみたい今だけ

ミルクティーにも生はある ミルクティーで腹を下す 次は負けない

飲むヨーグルトを横目に自販機の安い牛乳が似合う銭湯

道ばたに歩いていたらゴキブリもころされたりはしない世界は

ゆうがたのひぐらしがすき 人は皆ねむりかけてる午後五時がすき

思い出の小説に押し花を埋めこんで早めの彼岸に振って

昨日まで降ってたような雨だって音沙汰もなく消えたつような

夏の夜みたいな声をきいている すこしとおくなったような音

あいしてるばかり一日煮詰めても食べられないのは夏バテだから

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る