机ひとつぶんの距離

その意味はあまりに純度が高すぎて108階から飛び降りていた

クリームソーダを分けあうように机がひとつぶんの空を隔てる

明日の朝ご飯が素敵であるように、いちごを買っていいですか

そりゃまあ生きてりゃ詩くらい書くよ あんまりうつくしくはない呪いを

僕も来世は富士山を「うちの裏山」と言う人間になりたい

なにもかもきっかけばかり求めてるあなたになれたらうれしいはずで

実在の距離はぜんぜん平等でなくて不理解ばかりひろがる

一秒が越えられないや一ミリもここで絶たれる駅のむこうも

はじまりはおわりではない そりゃあまあ おわっていてもはじまらないけど

わずかさえ知り得なかったコーヒーの温度はいつも愛じゃないって

雨ばかり視界に烟る べつべつに差す傘ぶんの正しさの距離

目的を見失っても引き戻すだけの勇気が足りない戦士

ふさわしい顔をしたいな ふさわしい顔をしてたらむくわれますか

意味だけがとおくなってた 夏だけがちかくなるのはもういない夜

花束のバケットは雨 どこにでもあってなんにもなれないわたし

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る