5時になったら帰宅する

特別でないとき特別にきこえるかわいい言葉に耳をすませる

右手がつめたい左手に触れる くちびるよりもずっとつめたい

15枚書いた手紙を奥へやる ほこりとともに消えていくよう

軒先の金平糖が揺れている小鳥のような気がして嫌だ

夢をつむ指先手先小さくて両目を閉じて南無阿弥陀仏

傷跡を残してひとり佇んだ 夜に似合った靴はないのに

ひとみの奥の光をおぼえている まっすぐ暗く漆黒のやつ

墓場だけ積み重ねてはきょうでもう十三回忌も終えたところです

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