第4話 そして平和に……
私は今、幸せの絶頂にいるわ。
私の隣にはとても可愛らしい妻のセレネイが、大きなお腹を抱えて微笑んでいるの。
私は成人と共に大公になったの。王であった父上が亡くなる直前母上の願いという事でそうしてくれたのよ。
そして弟のアースは王になったのだけれど、可もなく不可もなく王国をまとめているわ。残念ながら王妃になられたレイメイン様との仲は悪いようだけれど……
何で知ってるのかって? だって私の目の前にそのレイメイン様がお座りになって愚痴を溢しておられるんだもの。
レイメイン様は弟が15歳と成人してから我が国に来られたのだけど、その時はまだ成人前の13歳だったの。それなのに弟ったら、自分は成人しているのだからとレイメイン様に襲い掛かる愚行をしたそうなのよ。
その時は弟の専属メイドとレイメイン様の専属メイドのお陰でレイメイン様の操は守られたのだけど、弟と同じ部屋はイヤだと泣き腫らしたお顔で私とセレネイの部屋にやって来たレイメイン様を2人でお慰めしてから、すっかりと仲良くなってしまったわ。
そして、弟が18歳、レイメイン様が16歳になってご成婚されたのだけど、身体には指一本触れさていないそうなの。
それもそうね、襲われそうになった人になんて怖くて身体を許したり出来ないわ。
そんなレイメイン様も18歳になられたのだけど、世継ぎを身篭っておられないので、重臣たちからは離縁を迫られてるらしいわ。
「ねえ、カイル様…… それにセレネイ姉様、ワタクシ、このまま離縁されて捨てられてしまうのかしら……」
悲しそうなお顔でそう言うレイメイン様を身重な私の妻、セレネイが優しく抱きしめてこう言ったのよ。
「大丈夫よ、レイ。もしも離縁されたら私たちの所にいらっしゃい。旦那様がアナタを優しく愛してくださるわ」
私はその言葉にビックリして妻の顔を見たわ。するとセレネイは優しく微笑みながら私にこう言ったの。
「ねぇ、旦那様、そうでしょう? フォロー国のワタクシと、アゲンスト国のレイの2人を妻として迎えれば、旦那様を暗殺しようとするアース様も手を出せなくなるわ」
そう、弟は私を大っぴらに処刑出来ないとわかると暗殺しようとあの手この手を試してきてるの。フォロー国の諜報員の力も借りながらことごとく返り討ちにしているけれど、鬱陶しいったらありゃしないのよ。
「レイも妻になったなら、アゲンスト国の諜報員も力を貸してくれるようになるわ。それにワタクシはレイなら旦那様を独り占めしたりしないって分かるから」
妻のセレネイの言葉にレイメイン様が期待に満ちた眼差しで私の言葉を待っているわ。
「その、レイメイン様はよろしいのかしら? こんな私でも……」
そう、今では
「カイル様! 初めてお会いした時から、カイル様をお慕い申し上げております! もしも陛下に離縁されたなら…… でも、カイル様のご迷惑になりますわね……」
そう言って顔を伏せたレイメイン様に駆け寄り、私は情熱的に抱き締めてその唇を奪ったわ!
本当は既婚女性の唇を奪うなんてしちゃいけないんだけど、余りにも可愛らしいからつい、ね。
「迷惑だなんてそんな事はないわ。レイ、貴女さえ良ければバカ弟に離縁されたなら私の
私がそう言うと嬉し涙を溢しながらレイメインは私を強く抱きしめたの。
「カイルオネエ様!! 本当に、本当にそうしてしまいますわよ! よろしくて?」
私はその問いかけに強く抱きしめ返す事で
そんな私たちをセレネイは微笑みながら優しく見守ってくれたの。
半年後、本当にレイメインに離縁を申し渡したバカ弟が変な手を打つ前に私はレイメインを迎えに行って私の領地に連れ帰ったの。
私の領地は私の知識で暮らしやすくなっているから、領民もそれを守る兵士も多く、また幸いな事にフォロー国、アゲンスト国の両国との境でもあったから、これ幸いと一緒に連れ帰ったお母様の了承も得て独立宣言を出したのよ。
弟は攻め込もうとしたようだけど、私の領兵だけでなく、フォロー国、アゲンスト国からの支援もあると知った重臣たちから止められて歯ぎしりしながら諦めたと聞いたわ。
そして、コレはやがての話になるんだけれど、国民を圧迫し過ぎた弟は民衆の支持を得られなくなり、またヒルデリック王国民に頼まれた私は大義名分を得てヒルデリック王国に宣戦布告を出したの。
残っていた重臣たちは戦争をせずに敗北宣言を出して、私の国にヒルデリック王国は吸収合併される事になったわ。
こうして、私はゲーム補正の全てを叩き壊して、幸せに暮らしたのよ……
【オネエ】になって良かったわ!!
【オネエ】さん無双劇 しょうわな人 @Chou03
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