束の間の禊ぎタイムに、五感が揺さぶられてゆくのは僕だけだろうか。

ああ……なんとも心地よい。

オレンジ色の仄かな明かりが照らされ、好みのメロディーが届く自分だけの世界。アコースティックギターの優しい音色なんて、思い悩む憂いを忘れさせてくれそうです。

「柑橘系の香りが鼻から、からだ全体へとおり抜けてゆく」ますます、ぬくもりに身を委ねて心の奥底まで癒され、まどろんでしまうのも自然である。たかが三十分程度なれど、自分が生きている実感を肌で確かめられるひと時。

エンディングで綴られる、「エゴという名の鎧を脱ぎ捨てる。そしてそこで出会うのだ。本来の自分自身に」思わず、頷いています。短編作品ながら、とても素敵な世界をありがとうございました。