第8話 今年もハッピーな正月でした。

孫達はみんな泣いているので心配したのか喧嘩したと思ったようだ。

「どうしてみんな泣いているの? 喧嘩しては駄目ですよ」

子供は泣く事は悲しいからだと思っているらしい。

「違うのよ。圭太、人は悲しい時、辛い時じゃなくても嬉しくって泣く事もあるの、それを嬉し涙というのよ」

 するとみんなはドッと笑った。昨年は大騒ぎした新年会だったけど今年は心に残る新年会となった。勿論、全員で後片付けをして、もう何もすることない。そして全員また来年の正月を楽しみにしていますと帰って行った。

二十二人も居た部屋が二人だけになり、急に静かになって寂しくなって来た。みんなが帰り、また二人になった。妻の典子は気が抜けたようにボーとしている。


「母さん、そうガッカリするなよ。また会えるさ。そうそう母さんにもプレゼンがある。幸太郎の嫁さんと同じ物で悪いが」

「まぁ驚いた。貴方からプレゼント貰うのって結婚してから初めてじゃない?」  

 そうかなぁと年甲斐もなく幸太郎は子供のように照れていた。

そんな時に京都に居る陽子から書留が届いた。十万円と手紙が添えられていた。

『兄や姉が、お二人にプレゼントしたと聞き、私も及ばずながらお小遣いを送りました旅行の足しにして下さい。そうそう来年の正月は必ず行くわね』

「独身なのに無理して……気持ちは受け取ったよ。来年の正月にくると言うけど彼氏でも連れて来るのかな」

「それなら良いけど、彼氏を連れて来るなら大歓迎してやらないと」

「そうか独身は陽子だけだから早く結婚してほしいものだ」

「うん陽子なら大丈夫よ、ただ外国人ならどうしょう」

「そうか、では今年は英語を習わないと」

「あのね、フランス人ならどうするつもり」

「ハッハハではフランス語の勉強も。いやいや母さん、そうのんびりして居られないぞ。来週は別府温泉に行くのだから準備しないと」

「あらそうね。本当に嬉しいプレゼントだわ」

「ああ、俺達の子育ても大変だったけど親孝行な子供に恵まれ幸せ者だよ」


 了

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お正月 西山鷹志 @xacu1822

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