第32話 官職名の決め方の話
「花旦綺羅演戯 ~娘役者は後宮に舞う~」(https://kakuyomu.jp/works/16817330647645850625)第二部連載開始しております。以前、本エッセイで紹介した科挙が深く関わるエピソードになりますので、調べたことをどう落とし込んだか、本編と見比べていただくと面白いかもしれません。
さて、花旦綺羅~の最近の更新で「
まず、最近「明史」をネット上で全文閲覧できるサイトを見つけました。こちらです→https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%98%8E%E5%8F%B2
Wikipedia(維基は中国語でWiki)の一環で青空文庫または国会図書館のデジタルライブラリーみたいなことなのかな? と認識してます。私は「明史」をどうにか読めないかな……で探して辿り着きましたが、ほかの王朝の史書も当然のように掲載されているので、各時代を調べるのに良いかもしれません。
もちろん白文なので私にはふわっと眺めることしかできないのですが、それでも、どうにか意味を推測可能な部分だけでも情報量は豊富です。例えば上述した「司業」については巻73職官二(https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%98%8E%E5%8F%B2/%E5%8D%B773)を参照しました。
すなわち、国子監(国立大学)の項目に下記の記述があります。
國子監。祭酒一人。從四品司業一人。
(略)
祭酒、司業,掌國學諸生訓導之政令。
国子監の学長が「祭酒」だということは既知でしたので、次に並んでいる「司業」を副学長と表現してもまあ大丈夫かな、という判断です。そういう当たりをつけた後で中国語Wikiで「司業」を検索すると、果たして「司業,又名國子司業,中國古代官職,即國子監的副校長。(司業、または国子司業、中国の古代感触で、すなわち国子監の副校長である)」(https://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%8B%E5%AD%90%E5%8F%B8%E6%A5%AD)と出てきたので、ヨシ! ということで作中の記述に反映した次第です。
とはいえ、「明史」の記述はあくまでも国子監の話であるいっぽう、拙作では府学の副学長ということにしています。これは、香雪はさほどの高官の家の出ではない、という設定から地方の学校にしたという意図がありますが、地方学校の組織も国子監のそれと同じであるはずはないし、国子監の教授も出世とは縁遠いということで学生からは侮られたと言うし、それなら地方の先生はどのていどの社会的立場だったのか、作中描写したように、皇帝の父に名前が届いているということがあり得るのか──等々、謎は深まるいっぽうなのですが。(この記事を書いてるうちに、素直に国子監の
自作での匙加減についての悩みはさておき、史書に当たると各官庁の役職名やその職掌があるていど分かるので創作にお勧めですよ、という話でした。(なお具体的にどんな業務があったかはさっぱり分からないので、なんだかんだ別途調べたり考えたりは必要な模様)
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