第11話 フレーバーとしての作中作と中国語の話
京劇をモチーフにした
(裏を返せば、拙作に登場する演目は基本的には実在しないのでご注意ください。信じ込む人もいないでしょうが念のため)
基本的には、実在の歴史や物語をもとに「ありそうな」タイトルやあらすじを仕立てております。イメージ元について、作中で登場済みのところだと、例えばこんな感じですね。
・諫言によって主君の怒りを買い、宮刑に処せられた学者→
・異国から献じられた奴隷から始まって立身出世した宦官の大将軍→
・《
・美姫に化けた仙狐を酔わせて尻尾を出させる《
その上で、創作した演目や役どころについて登場人物同士で「あーあれね」的に通じ合う会話をさせておくと、「このキャラは芝居に詳しい」「この世界では人気の演目・歴史エピソードがある」「史実のアレ的なエピソードはこの世界でもあり得る」等のキャラ付けやリアリティラインの提示にもなって良いんじゃないかな、と思います。
さらには、拙作中では
さて、歌詞で会話させる、ということは──そう、拙作では歌詞や台詞も捏造しております。なんちゃって中国語で。
例えばこんな感じですね。
通宵達旦我唱我舞 夜を徹して舞い、踊りましょう
以便嫦娥作為祭品 月の女神への捧げものとして
以便君免受任何害 貴方に加護がありますように
作詞だけでも恥ずかしいのに
以前語った通り、私は一応多少なりとも中国語の知識があることはあるのですが、DeepL翻訳に頼っている部分が大きいですね。明らかに原文を間違って解釈してるだろこれ……に気付きやすいかも、ていどの中国語力なので、やろうと思えばたぶん誰でもできます。機械翻訳はまだ完全に信用がおけないのですが、ダブルチェック(和→中と中→和で訳文を見比べています)することで意図した「歌詞」にそれなりに近い文字列になっているのではないか、と……。あとは、良い感じの中国語文が出てこない場合は、翻訳元を英語にすると違う発想のものが出てくることがありますよ、というtipsもあります。上に引いた歌詞だと、「以便」は「so that」から出力させた記憶があります!
何となく見た目が良いように文字の順番を入れ替えたり、文字を重ねたりすることもあるので、あくまでも中国語「っぽい」ものではあるのですが。また、翻訳っぽく併記している日本語歌詞は、あえて大幅な意訳にしています。それによって漢字の持つイメージを膨らませられるのではないかと……センスがないなりに足掻いております。
なお、実際の京劇では韻の踏み方に細かな規則があるそうですが、拙作の詞ではそこまで手が回っておりません! 西太后謹製の歌詞は唱に乗せづらくて役者が苦労したというエピソードを読んだことがありますが、拙作の歌詞も中国の発音では聞くに堪えないものになっているのかも……というかたぶんそう……。あくまでも雰囲気作りの一環として、こういう手段があるかもしれません、ということで。
(もちろん実在の漢詩等を使うのも手ですし、拙作でもそうした箇所もありますが、イメージぴったりのものを探すのも結構な手間と知識が求められるので、簡単な道はないのでしょうね……。)
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