大晦日だよ。ゆっくりはしろ。

からいれたす。

大晦日だよ。ゆっくりはしろ。

 ご~ん、ご~ん。


師走しわすですねぇ。ところで師って誰なんですか」

「お坊さんや先生、参拝客の世話人『御師おし・おんし』とか諸説あるが、坊主だとこのお話はスムースだ。つまりお前だ」


 ご~ん。


「ってことは、この忙しい時期に悠長に鐘なんか突いている場合じゃないんですよね」

「無理に走り回らなくてもイイ」


 ご~ん、……。ご~ん。


「今なんでができたんだ?」

「あ、給水所探してました」

「俺のイメージは短距離だったのだが……とりあえず、その酒はやめろ」

般若湯はんにゃとうです、酒ではありません!」

「隠語にしただけ! ごまかすんじゃねーよ。ちゃんとやれ、ちゃんと!」


 ご~~~~ん。


「めんなさい」

「アホ。とりあえず、もっとテンションあげていけ。年一だけなんだから」

「そうですか。ならばこんなのは?」


 ご、ご、ご、ごっごご、ごっご。~ん。


「おい、盆回りはヤメロ! 情緒もへったくれもない」

「今年が駆け足でいっちゃいそうでしょ」

「ちぇんじで」

「ちゃんと場面は転換しますって」

「そうじゃねーんだよ」


 ご、ご~~~~~~~~~~ん、ごん。ご~~~~ん。


「変拍子は気持ち悪いぞ」

「いちいち細かいなぁ~、もう普通にすればいいんでしょ?」


 ご~ん、ご~ん。


「それな。けどな、眠くなる上に、変にあがっちゃったテンションが下がらないんだよ!」

「この人、わがままです」


 ご~ん。


「カルロスだけど、呼んだ?」

「なんか、ややこしいのがきたな。帰れ帰れ、楽器はすでに輸出されただろうが」


 ご~ん。


「ちなみに今はBPM108くらいですよ?」

「めんどくせー、煩悩まみれかよ。それとBPMってBeats Per Minute。1分間に刻まれる4分音符の数。つまり除夜の鐘は1分で終了」

「うむ、とらのような除夜の鐘になりますね」

「うるせぇよ。無理に寅ださなくていいから」

「メトロノームのような除夜の鐘があったら、バカバカしくて良いかなと愚考」


 ご~ん。


「ああっ、突きたい→その頭」

「パンチドランカーになっちゃうんでやめてください」

「カーロス・リベラじゃねーんだよ。なんでゴーンから離れてカルロスに寄るんだよっ」


 ご、ご~ん、ご。ご、ご~ん、ご。


「裏拍にシンコペーションいれるんじゃねー」

「木魚をタムっぽく合わせてくれませんかね?」

「うるせー」

「跳ねたリズムになりますからっ。もうすぐ、うさぎ年ですし!」


干支えっと、やめさせてもらうわ」

「ありがとうございました」


 みなさまの来年が良い日々でありますように。

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