第13話 アルベルト

 「うっ動いた!?」

 

 アルベルト・オズマ…アームズインテンス社、社長、3人の子供の内の末っ子でやや性格に難がある男。

 彼を知る者は皆、口を揃えてそう言うだろう。

 

 彼は今、たった一人。

 地下鉄道の線路の上を歩き影からの恐怖に震えながらもアレンのいるホームまで辿り着いた。

 

 アレンは明かりに照らされ目を細めまだある片方の腕で明かりを遮る。

 

 「お前…生きてるのか?

 まさか……幽霊じゃないだろうな…」

 

 アレンの姿はいくつもの箇所が包帯で巻かれ血が滲んでいる。

 しかも本来あるはずのその片手と方足は無く代わりに同じく赤い包帯で巻かれていた。

 

 「いったい何者だ?

 まさか、生き残り……」

 

 アルベルトは怯えた様子を見せながらもホームに上りアレンに近づいた。

 

 「お前、機械人形はあるか?

 あるなら俺によこせ。

 後で金はくれてやる。

 それで義手でも義足でも機械人形なり買えばいい」

 

 アルベルトは高圧的な態度でアレンにそう詰め寄った。

 

 ……

 

 コツコツコツ…。

 

 暗闇の中を進む複数の明かりと足音。

 それらは徐々に大きく広がりこちらに近づき動いている事が分かる。

 

 「なるほど…確かにここを使えば安全ね。

 まあ…正直いい場所では無いし落盤とか色々な危険はあるけど」

 

 フラワービューティーズの指揮官レオナは懐中電灯を天井に向け顔をしかめながらそう言う。

 

 今は5機の機械人形を率い、二人の指揮官の捜索をこの灯りのない暗闇の中で続けていた。

 

 「それにしてもあのコンクリートの下にあった大穴、何だったんだ?

 あれがあったから助かった様なもんだが…。

 昔の人類が作ったやつなのか?」

 

 ラベンダーは先頭を歩きローズにそう問いかける。

 

 その問には少しローズは考える素振りを見せ口を開いた。

 

 「多分…ですけどあれは今回の目的でもあった地下都市の建設時に作られたものだと思います」

 

 そもそもの人類が行おうとしていた作戦は元地下都市シェルターの調査、、資源の調達、奪還だ。

 

 彼らが活動するノアにも似たような大穴は存在する、物資の輸送や戦闘機や人の出入口、掘削後の土や岩を運び出す目的で存在するものだ。

 

 「それより気になる事と言えば他にあります」

 

 ローズはそう言い後ろを歩くアリアを見る。

 

 「なぜそんなにも強いんですか?

 量産型では明らかに出せない火力を出していました。

 いえ…もしかするとあの特殊個体のビーストに有効な物質があったのかもしれませんが」

 

 アリアはその問いに少し戸惑った後ローズを見るとゆっくりと話し始めた。

 

 「いえ…私は強くなんて無いです。

 隊長を守れませんでした。

 それどころか…。

 私は隊長に守られてばかりでしたから」

 

 ただ必死にここまで生きて来た。

 

 そうアリアは話した。

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滅びの星 ペンちゃん @PEN_NPC

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