最終話 優しき世界にゼロ点を

「アストさん、今日も殺しに来たんですか?」ユイナは笑顔で刀を構える。


「今日こそはユイナを殺せる気がする。なんだろうな、天気かな?」


 夜が明けるかどうかの時刻、誰も知らない山奥。今日の天気は快晴、連日の雨から解放されたような気分だった。


俺とユイナは顔を合わせている。


 今回で1000日目の決闘は、俺の999敗ゼロ勝という戦績。まぁ、ヒーラーとアタッカーの戦いなんて、見るまでもなくそうなってしまう。


「開始の合図は、アストさんが決めてくださいね」


「はいはい、いつも通りってことね」俺は周囲を見渡して、ファイアーバードを指差した。「じゃあ、アイツが鳴いたら開始で」


「ふふっ、いつも通りですね」ユイナは嬉しそうに刀を握る。


──ガカァ!


戦闘開始の合図。俺とユイナは共に攻撃を開始する。


──ヒール


──ヒール


暁は俺たちを見守っている。


死の天使と死神はいつもそこにいる。


冬が来ても変わらない関係。


それでは、平和のシンボルを掲げることは出来ない。


花の妖精の妹、ユイナ・クリフォード。


俺は、ユイナの名前だけ意味を知らない。


「アストさん! 楽しいですね! 気持ちいですね!」


「そうだな! 今日も殺し合えて幸せだよ!」


故も知らぬアストとユイナ。


──さあ、優しき世界にゼロ点を

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優しき世界にゼロ点を 〜Sランクヒーラーだった俺、美少女を蘇生した代償に回復能力を失いました〜 七星点灯 @Ne-roi

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