第5話 星々を眺め、夢を語るの巻
個人フットサルの試合を終え、自宅に帰宅する帰り道。
三原君と別れた私はかなちゃんと一緒に歩いていた。
「ごめんねかなちゃん。わざわざ巻き込んじゃって」
かなちゃんは今日の試合に参加しなかったため、途中で帰って良い立場だった。
それにも関わらず、私のことを待ってくれたのだ。私は頭を下げながら謝った。
「いやいや! 寧ろ接那のプレーが見れて楽しかったよ!」
「へへっ、そうかな……うん、そうかも!」
それに対して、かなちゃんが返してくれた言葉はとても優しかった。私は頬を赤らめながら耳にかかる程度に伸びた黒髪を右手の指でいじる。
「今日は楽しかった! また参加するときは誘ってよ」
「いいけれど、かなちゃんはプレーしないの?」
「まぁ興味はあるけどほら、私は接那みたいにプレーできないから」
私が首をかしげながら質問すると、かなちゃんはそう言いながら首を振る。
確かに今日の様な個人フットサルメンバーが揃ってしまうとかなちゃんがプレーするのは中々難しいかもしれない。私はそう思いながら頷いた。
そんな時、かなちゃんは私に対してある話を振ってきた。
「そういえば、さっき接那がやったプレーって例のあの人のプレーだよね」
「そうだよ、
私は笑みを浮かべながらかなちゃんに返答を返す。
荒畑さんは群永高校で3年間控えだったが、高校サッカー選手権という大舞台で優勝候補から1点を奪い取る活躍をした後、日本フットサルリーグ1部のヴィレッジ群馬に所属する選手となった。高校時代に培った視野の広さと足元の技術で現在も得点を重ね続けている本当に凄い人だ。
何時かあんな風に、私も輝きたい。そんな風に憧れてしまう選手だった。
もしあの人に追いつけるならば、私は泥水だって啜る覚悟がある。
その為なら、どんな手だって使ってやる。どんな不条理でも乗り越えてやる。
それで一等星に成れるなら。それで夢を手に入れられるなら。
「かなちゃん。私、今日誓うよ」
私は友達の前で高らかに宣言する。
「私、荒畑さんみたいなプロ選手になる! そして、何時か――」
日本代表になるんだ!
私はきらきらと輝く星を指差しながら、高らかに宣言した。
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