とりあえずタイトルから連想される、どこか下ネタっぽい雰囲気ですが、これは本当に下ネタであり、下ネタっぽいワードが次々と登場しては、作中の下ネタな現象に繋がってゆくという、キレの良い下ネタ言葉遊びは本作の大きな特徴のひとつだろうと思います。
が、それ以上にこの物語は、至極大真面目な熱血スポーツ根性作品であり、学生時代に何らかの体育会系部活に参加していたなら頷けるような、懐かしくなる様な、そんな描写に満ちている次第で、まず主人公のムロくんが大きなコンプレックスを抱えた自己肯定感の低い少年であり、それでも部活での地味な努力を放棄しないという、なんとなく応援したくなるタイプの人物で、そんなムロくんが天才的な才能に恵まれた兄妹と出会い、やがて等身大の自分を認め、少しずつ成長しながら自身のコンプレックスをバネに大きく躍進するという……本当に王道な、とても爽快感のある物語として成立しています。
また作中で行われている不思議な競技「剣魔」ですが、読んでみると正しく競技として成立しており、そのルールに沿って登場人物が巧みに駆け引きを行い、勝利を目指すという、なかなかにタクティカルなバトル物としても楽しめます。
これは一読して損の無い面白い作品だと感じました。