第71話

 ハルキは黒髑髏に向かって魔銃を撃ちつける。


 黒髑髏は弾丸を受けながらもイレイサーに向かって蹴りを放つ。


 その隙を狙って、ニッタは黒髑髏の背後に回り込み、後ろからライフルの弾丸を撃ち込む。


 黒髑髏の体に無数の穴が空くが、黒髑髏はすぐに傷口が塞がっていく。


 ハルキは即座にその場を離れ、ニッタの側まで戻る。

 ニッタはライフルを構えて再び引き金を引く。


 ニッタが撃った弾は黒髑髏の体に当たると、黒いモヤとなって消えていく。

 黒髑髏はニッタの方を向いて、拳を振るう。


 ニッタは間一髪で避けるが、地面に大きなクレーターができる。

 そこにハルキが魔銃で応戦、またニッタがライフルで応戦し、回避行動を繰り返す。


 その間に、他の仲間達は、それぞれ自分の聖石の力を発動させ、武器を作り出していた。


 トーコは氷柱を、イッコとシゲルはそれぞれ炎と風を作り出す。


 ホリは双剣で黒髑髏を切りつけ、ユウジは長剣『ギリメカラ』で黒髑髏を攻撃する。


 黒髑髏の攻撃は激しく、皆それぞれに応戦するが、黒髑髏の動きが止まることはない。


 ハルキは黒髑髏の攻撃を避けながら、仲間たちの状況を確認する。


(みんな上手くやってるみたいだな。)

 ハルキは自分の前にいる黒髑髏を見る。


(だが、こいつは倒せない。くそっ! どうする?!)

 と、その時、ハルキたちの頭の中に声が響く。


《愚かなる人間たちよ。よくぞここまで来た》


 その言葉を聞いた瞬間、ハルキたちは動きを止め、辺りを見回すと、黒い空間に魔法陣が現れ、そこから一人の男が現れる。


 男は真っ白なローブを着ており、手には錫杖を持っていた。


 突然現れた謎の男に、ハルキは叫ぶ。


「誰だ?! お前は!」


 すると白い服を着た男が答える。


「私は、神である。そしてお前達は、我らオルドゥアズにより生み出された者、とでも言っておこうか」

 と言い、イレイサーたち全員の顔を見まわす。


 黒髑髏は白いローブの男の前にひざまずき、首を垂れる。


「ふむ、アブソースの言った『青炎の聖石』の持ち主がおるのか。面白い」


 そう言うと、白いローブの男は黒髑髏に変わったキョーカに向け


「遊びはここまでだ。戻るぞ」

 と言い放つ。


 黒髑髏は白いローブの男の言葉に素直に従い、ハルキたちに背を向ける。


 ハルキは黒髑髏を呼び止めるように


「逃がすかよ!」


 と思いを込めて魔銃を放つが虚しくも白いローブの男が作り出した障壁に阻まれ、黒髑髏に届くことはなかった。


 白いローブの男が再び語りかける。


「『青炎の聖石』の担い手よ。せいぜい励むがよい。それが世界を真なる姿に戻すことになるのだからな」


 そう言ってキョーカと共に魔法陣の中に消え去っていく。


 イレイサーたちは黒髑髏の後を追うことはせず、ただ立ち尽くしていた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る