第70話

「なるほどな。やっとわかったわ。あんたは『聖石』の下についてる。部下って事か。んで、あのオルサスってやつは『聖石』の持ち主って事か」


「ふふふふ。今さら何が分かっても無駄よ。あなたたちはここで消え去るのだから!」

 そう言うと黒髑髏はハルキたちに襲いかかってきた。


 ハルキは銃を構え応戦するが、黒髑髏に銃弾が効いている様子はない。


 ニッタは素早く後ろに回り込み、ライフルで応戦するが、やはり全く効果がない。


「ハルキさん、これ、怒らせちゃったんじゃないっすかね?!」


「ん? まあそうだろうなあ! んなこと言ってねえで応戦しろ!」


「うぃっす!」

 黒髑髏の攻撃を避けながらハルキとニッタが叫ぶ。


「死ね! 愚か者ども!」

 黒髑髏が叫び、大きく腕を振りかぶると、ハルキとニッタに向けて拳が飛んでくる。


 ドゴーン!!


 激しい衝撃音が響き渡り、二人は吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。


 黒髑髏はそのままハルキとニッタを踏みつけようと足を上げる。


 バン!


 ハルキとニッタは瞬時に飛び起き、そのまま横に飛び退くと、二人がいた場所に巨大な足が踏みつける。


 ハルキは体勢を立て直しながらニッタに話しかける。


「おい、ニッタ、生きてるか?」


「ういっす。でも魔銃もライフルも効かないっすよ? どうすんっすかあ?!」


「どうすっかなあ」

 ハルキはチラッと黒髑髏を見て


「とりあえずあいつの動きを止めないとな」


「どうやってっすかあ?! あー! いつものようにオレを――」


「いや」


「え? 投げ飛ばさないんっすか?」


「ああ、投げ飛ばさねえ」


「なんでっすか? そうしないとハルキさんが動けな――」


「うるせえ! 投げ飛ばさねえんだよ! おい、ニッタァ!」


「なんっすかぁ!!」


「お前、とりあえずこの空間から出て誰か呼んで来い!」


「……は?」


「だからよお、俺が時間稼いでる間にお前が誰か呼んでくるんだよ!」


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! そんなことしたらハルキさん死んじゃいます

 よお!」


「あ? 俺は死なねえから心配すんな。ほら行けって!」

「いやいや、無理っすよぉ」


「いいから早く行けよ」

「ハルキさん、いつもは有無をも言わさず投げ飛ばすじゃないっすか!」


 オルサスによって紫の霧を内包したニッタの『青い聖石』がどのように働くかわからない以上、ハルキはニッタを投げ飛ばすことができなかった。


 しかし、黒髑髏の攻撃を二人で避け続けるには限界があるのもまた事実だった。


 黒髑髏は動きを止めることなく攻撃を続けてくる。


 その時、ハルキたちがいる黒い空間に亀裂が入り、アキとユウジ、トーコとシゲル、イッコとホリが飛び込んでくる。


「ハルキ、無事かい?!」

「借りは返さなければですね」


「ハルキさん! 大丈夫ですか?!」

 ―――先走るな、トーコ


「ハルキさん、上に行けって騙しましたね?」

「お前、いい加減にしろ」


 その姿を見てハルキは一瞬ニヤリとする。


「っは! なんだよ、お前ら全員来ちゃったのかよ」

「おおおお! 助かったす!!」


 ハルキは黒髑髏に目線を戻し、ゆっくりと歩き始める。


「んじゃあ、仕切り直しだ。行くぜぇ、クソ野郎!」


 イレイサーは黒髑髏に向かって走り出す。

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