地下遺跡での戦闘
第46話
一方、トーコたちはアルネラに案内され、領主屋敷の地下遺跡を歩いている。
通路にはところどころ灯りがともっていて視界が確保できる。
天井や壁が崩れた部分からは外の光が差し込んでいて、その光と地下遺跡の照明とが重なり合い、幻想的な雰囲気を作り出している。
そんな中、先頭に立って歩くアルネラの後について歩きながらこの遺跡について尋ねる。
「この地下遺跡はいつ頃の物なのでしょう?」
「よくわかっておりません。古代戦争の時だと聞かされておりますがどのようにして作られたのかもわかっておりません」
「そうですか。この奥に何かあるのですか?」
「はい、この奥には古代帝国の皇帝が残した遺物があると聞いておりますが決して開けてはならないと代々受け継がれ、私も開けた事などありません」
「そうなのですね。やはりこの遺跡が目的なのでしょうか?」
「その可能性は高いと思われます、トーカ様。ただ、この遺跡がどのような目的で作られたものなのかがわからなければどうしようもございません」
「そうですよね……」
「ええ、それにもう一つ気になる事がございます」
「気になる事?」
「はい。実は最近この辺りでは最近地震が頻繁に起こっているのです。最初は気のせいかと思っていたのですが、ここ数日になって頻繁に起こるようになったのです。もしかしたらこの地下遺跡に何か関係しているのではないかと思いまして」
「地震ですか。確かにここ数日に増えていますが、それがこの遺跡と関係があるのかどうか」
「そうですわよね。申し訳ありません。変な事を申してしまって」
「いえ、大丈夫です」
そんな話をしつつしばらく進むと、広い空間に出た。
「こちらになります」
そこは巨大なホールのような場所だった。
床には綺麗な模様が描かれていて、高い位置にある天井は崩れてなくなっている。
その穴から空が見え、そこから入ってくる太陽の光がスポットライトのようにあたりを照らしていた。
その中央に棺のようなものが置かれている。
「これが?」
トーコが聞くと、その問いにアルネラが答える。
しかし、その答えは予想とは違うものだった。
「そんな!? このような事になっているなんて!」
「アルネラ様? どうかされたのですか?」
「ああ、これは! 大変です!!」
そう言って走り出そうとしたアルネラを、トーコは慌てて引き留める。
「待ってください。何かあったのですか?」
「ああ、トーコ様。あれを見て下さい! あそこに穴が、この部屋はこの扉からしか入れないはずなのに」
「あそこ? あそこに何があるのですか? まさか、そこにカタデリー教団が?!」
「ああ……」
そう言ってアルネラは崩れ落ちる。そして両手で顔を覆いながら泣き始めた。
その様子を見たトーコはシゲルに指示をする。
「シゲル! お願いできる?」
その声は少し震えているように聞こえた。
―――任せろ
そう言ってシゲルの気配は穴に向かって進んでいく。
トーコがアルネラに近づき優しく声を掛けるとアルネラは嗚咽しながら少しずつ話し出す。
「申し訳、ございません。私は、この部屋の、管理を任されておりました。そして、この部屋にあるものを守る事も。それなのにこんな事に、なるなんて」
「落ち着いてください。一体どういう事なのですか?」
「はい。この遺跡は先ほどもうしたように古代帝国の遺物が納められていると聞き伝えられておりました。ただ、それだけではなく、この中には、ここには、私の夫も眠っているのです」
「あなたの夫?」
「はい。夫はカタデリー教団に殺されたのです。十六年前に。この地下遺跡で」
「なんですって?!」
「私もこの地下遺跡については詳しく存じ上げていなかったので詳しくはわかりませんでした。ただ、この遺跡には貴重なものがたくさんあるという事はわかっていましたので、万が一にも盗掘者などに奪われぬようそれ以来、私がここで守っていたのです」
話を聞いていると轟音と共にシゲルの気配が近寄ってくる。
―――トーコ、来るぞ!
とシゲルが言った瞬間、穴の中から巨大な魔獣が姿を現した。
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