第39話
「あー、助かったあ。ありがとな、トーコ。んだけどお前、『アイスとお呼びください』ってなんだよ、初めて聞いたよ」
「いえ、何かカッコイイかなと思いまして。ダメでしたかね?」
トーコと呼ばれた女性は少し残念そうな顔をする。
彼女は、腰まで伸びた銀髪に薄い青い瞳、背は150cmくらいだろうか、服装は巫女装束を着ているが、袖がなくミニスカートになっており、靴はブーツを履いている。東方の衣装らしい。
「いや、別にいいんだけどよ。あ、そういえばアルネラは?」
「ああ、あの憑りつかれていた人ならシゲルに運ばせて、そこに置いてあります。大丈夫、ちゃんと生きてますよ」
そう言いながらトーコはニッコリと微笑む。
ハルキはホッとした表情を浮かべる。
「相変わらずシゲルの姿は見えねえなあ、もう何年も姿を見てねえぞ。あのおっさんに少しは姿を見せろって言っといてくれる? 出てこない理由が人見知りっておかしいだろ? んで、お前らのバディっていっつもどっか行っててなかなか会えないしな。って、そうじゃねえわ、なんでお前らがここにいるの?」
「はい、シゲルにはちゃんと伝えておきますね。あ、それと、今回私たちは別件で来ておりまして、その途中でたまたま困っているハルキさんを見つけたものですから助けちゃいました。」
「たまたまってなあ。ん? 別件ってなんだ?」
「ええ、ペイドルが陸の孤島と呼ばれていることはご存じですよね?」
「ああ、知ってる」
「実は、ここペイドルは数百年前、ある大きな戦いが行われたらしく、その事について調査していたんです」
「へぇ~、ってその戦いってのを調べてたわけじゃないんだろ? なんか分かったの?」
「ええ、それが、どうやらその戦いの時に地下遺跡が作られたみたいで。それがこの領主の屋敷の地下にあるみたいなんですよ」
「まじかー! オレもここの地下については調べたかったんだ。よし、早速行くか!」
「いえ、ハルキさんは怪我をしているじゃないですか。今の状態ではまともに戦える状態でもないのですよ? ハルキさんは休んでてください」
「いや、でもなぁ。そう言われてもなあ。あー見てえ、見たいよなあ。まさか遺跡だったとはなあ。あ、そうだ! んじゃあ、ニッタを連れてってくれ」
「ニッタさんを? い、いえ、これは私たちの任務ですので」
「なに言ってんだよ。オレが行こうと思ってた所に行くんだろ? だったら連れてった方がいいだろ?」
「まあ、それはそうですけど、って、そうなんですか?」
「そうだよお。おじさんは嘘つかないよ。さ、さっさとニッタを呼びに行こうぜ」
「はぁ、仕方ありませんね。わかりました。ではハルキさんはこちらの彼女をお願いできますか?」
「いやお願いって言ってもな、氷漬けだよ? この人」
そう、アルネラの体はトーコが魔法を使ったため氷で覆われているのだ。
しかし、トーコは全く気にしていないようで、ハルキはその様子に苦笑いをする。
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