第31話

「んで、どうする?」


「んー。じゃあ、こうしましょう。領主館の調査が終わるまで自由にしてもらって構わない、だけどファンドリールには手を出さない。それでどうかしら」


「それはどうかなあ。実はな、今日襲ってくるのはその領主代行だと思ってたんだわ。それがなんでお前らが来ちゃうかなあ。台無しだよほんと」

 ため息をつくハルキにニッタが聞く。


「え? 領主が俺たちを襲うんっすか? え? なんでですか?」

 ちなみにニッタは拘束されたままである。


「うるせえなあ、お前はもう縛られとけよ。そうだよ、襲ってくれる予定だったんだよ」


「あら、面白そうですね、詳しく聞かせてくれます?」

 イッコは乗り気なようだ。


 ホリはイッコを見ながらため息をついている。


 ハルキは領主館での領主代行との出来事を話し始め、領主館の応接室は豪華な調度品に囲まれた部屋で話をしていたが、隣の客間に明らかに人の気配があり、そこから憑き者の気配がした、と話した。


「ありゃあ人、いや、人じゃないかもな」

「やっぱり何かありそうですね」

 イッコが言うと


「ああ、こいつは俺たちイレイサーの仕事だ、止められねえぞ」

 ハルキが凄むとイッコはにっこりと笑いながら


「私たちはあなたがファンドリールに手を出さないようにって言われているだけですから。その他の事は知ったことではないですね、ね、ホリさん」

「……」

 ホリは首を横に振る。


「もう! いいのよ、それで! じゃハルキさん、私たちは一応止めましたから。あなたが領主のとこで何かやっても私たちは関知しないですから。じゃ、よろしく」


 そう言うと窓から飛び出していった。


「え? ちょ、ちょっと! イッコさん! これ、解いてくださいよおお!」


「ほんとあいつは自由すぎるな。まあいいか」

 ハルキが言うと


「ねえハルキさん。イッコさんたちは何しに来たんっすか?」


「え? お前、聞いてなかったの?」


「聞いてましたよおお!」


「じゃあわかるじゃねえか」


「警告っすかね?」


「警告? なんの?」


「これ以上手を出すな、的な?」


「いつイッコがそんなこと言ったよ。少しは考えろよ」


「え? だって上から止めるように言われたあって言ってたじゃないっすか?」


「あれはねえ」


 そう言ってハルキは、イッコたちが来た目的は、上からファンドリールに手を出すなと言われて捜査が継続できない、領主と何かしら繋がりがあると思われる、お前たちがそっちから捜査を進めることで何か起きても知ったこっちゃないが引っ掻き回してファンドリールにまで何とかたどり着きたいからやる時には思いっきりやっちゃえって事だとニッタに説明した。


「そうなんすねえ。じゃ、よかったじゃないですか。ハルキさんはいつも通りやればだいたいやりすぎるっすから!」

 と言ってハルキに小突かれた。

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