第6話

 ハルキは倒れた女の頭に狙いを定めて再度引き金を引こうとするが、今度は左腕が伸びハルキに殴りかかってくる。


「んなっ?!」


 それをなんとか回避すると再び白いドレスの女の頭を撃つが、今度は両腕でガードされる。


 「クソ! これでも破壊できないのかよっ?!」

 ハルキは焦りを覚える。


 と、同時に白いドレスの女は操り人形のような動きで立ち上がる。フードの外れたその顔は口が裂け目が吊り上がり、悪魔のような形相で向かって来る。


 「くそっ! どうなってんだよっ?!」


 アキはハルキの援護射撃のおかげで体勢を立て直すと、今度は自分の番だと言わんばかりに突っ込み、白いドレスの女の顔目掛けて棘の右手拳を突き出す。


 が、その攻撃は空を切る。


 女の姿はすでにそこにはなく、いつの間にか後ろに回り込んでいる。


 アキは慌てて振り返るが、すでに遅かった。

 

白いドレスの女の左手がアキの首を掴み持ち上げるとそのまま壁に叩きつけた。


 ハルキが急いで駆け寄りアキを引き剥がすと、すかさず魔銃の連射を浴びせかける。


 白いドレスの女は、先ほどと同様に腕をクロスさせ防御するが、弾は全て白いドレスの女の身体に命中する。


 やったか?!


 ハルキは一瞬喜んだものの、すぐにそれは間違いだったと思い知らされることになる。


 キィィィィ!!


 破れた白いドレスからは鋼のような色をした肌が見え、その肌には傷一つ付いておらず、それどころか白いドレスは見る間に修復され元の状態に戻っていく。


 キィィィィィィィィ!


 白いドレスの女は再び奇声を上げながら二人に向かって突進してくる。


 ハルキは、咄嵯に魔銃を構え叫ぶ。


「ニッタァ!!」

「はーい!」


 ニッタは飛び出すと、手にした店の大槌を振り上げ白いドレスの女の背中めがけて振り下ろす。


 その瞬間、ハルキは大槌に向け引き金を引く。


『オーシャン・スティール』から放たれた青い銃弾がニッタの持つ大槌に当たり青い光を放つ。


 ドゴォン!!


 鈍い音と共に大槌は白いドレスの女を地面に叩きつける。


 グゥェエ!!


 と潰れるような声を出すと、大槌を受けた白いドレスの女は地面に倒れ込んだ。


「ふぅー」

 ニッタは額の汗を拭う仕草をする。


「ニッタ、助かったぜ」

「いえ、まあ、こんなもんっすよ」

 そう言いながらもニッタは油断せずに大槌を握り締めたままだ。


 ハルキもニッタの横に立ち白いドレスの女を見つめる。

 ゆっくりと起き上がろうとする白いドレスの女。


「おい、アキ。お前がやるんだろ?」


「ちっ! まさかあんた達に譲られるとわね。苛つくけどユウジの仇だからね、ここは譲ってもらう」


 そう言って呪文を唱え始めるが、それよりも早く白いドレスの女はアキに襲いかかろうとする。


 キィィィィ!


 甲高い悲鳴のような叫びをあげ、両腕を突き出しながら突進してくるが、アキの目の前で動きが止まる。

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