第4話

 ハルキの説明によると、アキとユウジのバディが動いているとすると連続殺人の犯人は憑りついた『遺物』ということになる、ユウジの剣である『ギリメカラ』が無ければアキとユウジの戦力はかなり低下するよな、と言い


「憑りついてる憑き者落とすだけならアキだけでもやれると思って見逃してたけどな、でももうその必要は無いよな。知り合いのジジイがやられちゃったんだもん」


「だもん、じゃないっすよ。三十後半のおっさんが言うと気持ち悪いっすよ、ハルキさん」


「いいんだよ、おじさんは可愛さで売ってんだから」

「まじっすか? もう事件なんてどうでもよくなってきたっす。その件について話し合った方が何倍も有益と思えてならないっすよ」


「うるせえ。ま、冗談はさておき、だ。その白いドレスの金髪女の格好の『遺物』は俺たちイレイサーの武器を狙ってるよな?」


「いや、でも、その前の五人はイレイサーじゃないっすよ?」


「だよなあ、んだけど今から被害者五人の共通点探しても仕方ねえしな。いや、待てよ、本当にそうか? 本当に被害者五人は無関係なのか? ああ、例えばそいつらの持ってた武器を盗んで、って、そうか武器をアップグレードして使ったって可能性はないか? で、『ギリメカラ』までアップグレードしたんじゃねえか?」


「うーん。そうかもしれないっすけど、わかんないっすねえ」


「ただなあ。なんで剣と銃なのかが分からねえけどな」


「どういう事っすか?」


「まあこっちの話だ。ニッタ、お前の短剣も狙われるかもしれねえ。気をつけろよ」


「え? なんであの剣が狙われるんっすかあ。あれはイッコさんにもらったセントレイスデイのプレゼントっすよ? あんなの『ギリメカラ』と比べちゃダメっすよお」


「あ、ま、まあそうなんだけどな。もしもって事があると悲しいだろ。んで? 今あの短剣、どこにあんの?」


「ああ、あれ。ピカピカ綺麗なんすけど、夜にあんまりにもまぶしくって。で、ディレクターに相談したら、『俺が責任を持って預かっといてやるー』って、そのまま持ってっちゃったんすよ」


「マジか、あのチョビヒゲ。まさか気づいて…… いや、気づいてねえよなあ。たまたまかぁ、はぁ。ほんとあのおっさん、なんでそんな事すんだろうなあ」

 と深いため息をつくと


「おい、ニッタ。ツノダさん、それどこにやったのか聞いてるか?」


「いやあ、わかんないっすねえ。なんか、鞘を作ればいいんだあ、とか言ってましたけど」


「鞘か。で、ツノダさん、まだ帰らないの?」


「そうなんっすよ。朝からみんな待ってるんっすけどねえ」


「ほんっと大事な時に使えねえなあ、あのおっさん」

 二人が事務所でそんな話をしている時だった。


 ガチャリとドアが開く音がして、ハルキは一瞬身構えるが、すぐに警戒を解く。


 そこには、まるで死人のように青白く生気が感じられない顔をしたツノダが立っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る