第16話
骸骨の化け物は手に持っていた槍を振り回しハルキ達を攻撃する。ハルキはそれをかわすと車に駆け寄りドアを開けニッタの短剣を取り出す。
ハルキ達は車から離れようとするが、骸骨の化け物がそれを許さないように追いかけてくる。
グルルルルォォォォ!
骸骨の化け物は口から火球を吐きハルキ達を攻撃しようとしてくる。
ニッタはそれを見てとっさに骸骨の足元に銃弾を撃ち込み、足止めするように続けて数発撃ち込み、さらに骸骨の後ろに回り込んでライフルで撃つ。
骸骨の化け物はバランスを崩して倒れこみ地面を転げ回る。その間にハルキとニッタは走りながらニッタに短剣を渡す。
「おい、ニッタ」
「はい。なんすか? はい」
「そいつをあの骸骨のどっかにぶっ刺せ! 十秒でな」
「ええええ? この短剣、イッコさんにもらったやつじゃないっすかあ!」
「はい、十! 九!」
「はあああい!」
そう言ってニッタは骸骨に向かって走り出す。
走り込んだニッタが倒れ込んでいる骸骨の頭に短剣を突き立てたその瞬間、ハルキは魔銃『オーシャン・スチール』を構えニッタに向けて引き金を引く。
魔銃から放たれた青い光がニッタに向けて一直線に飛んでいく。
ニッタを貫いた青い光はさらに激しさを増し骸骨の頭に命中し、骸骨の内部から青い光が無数に放たれ黒いモヤは消失し、撃ち抜いた骸骨は砂のように崩れて消える。
「ひどい目にあったぞ、ちくしょう」
ハルキがつぶやくと
「ハルキさん」
駆け寄ったニッタが静かに言う。
「ん? どうした?」
「どうしたじゃないっすよ。オレが刺した瞬間に骸骨打ち抜いたでしょ? びっくりしたっすよ!! バスッ! ってなったっすよ!!」
「なんだよバスッ! って」
「びっくりたまげた音っす!」
「なんだそりゃ? ま、イレイスできたからいいじゃねえか」
「いや良くないっすよ、ぜんぜん良くないっすよ?」
「おいニッタ。そんな事よりあれ見ろ」
ハルキが射した先には古びた紙切れが一枚落ちていた。
――――――
骸骨の化け物が砂塵となって消えた後、ハルキは周囲を見渡しながら警戒しているようだったがしばらくして緊張を解くとニッタに声をかける。
「おいニッタ! 無事か? 何ボケっとしてんだよ!」
ニッタはその声で我に返る。
「ああ、大丈夫っす。いやあ驚きましたねえ」
「驚きましたねえ、じゃねえよ。ほら、この紙、『遺物』だわ」
「『遺物』? なんで?」
「知るかよ。とりあえずツノダさんに報告はしなきゃだろ?」
そう言ってハルキは後ろに乗り込むとニッタに事務所に戻るよう指示する。
「またプロデューサーに小言を言われそうっすねえ。でもまあ今回は『遺物』が残ってるっすからね、そんなにはツノダさんも怒らないと思いますよ。いっつもオレたちに『過去の『遺物』の中に稀に「ある」者が憑りついている。イレイサーの仕事は憑りついている者の存在を消して、「憑りつかれている遺物」を「通常の遺物」に戻すことだあ』とか言ってるのに、ハルキさんは『遺物』ごとイレイスしちゃってますからねえ」
「なんだそのモノマネは。似てねえよ、しかも聞きたくねえよ。あ、聞きたくねえついでに言うとこのBGMも聞きたくねえよ」
「なんでですか? デビュー五十年の記念アルバムっすよ」
「なんでですか? じゃねえよ、デビュー曲から順番にかけるのやめろって言ってるだろ? しかも乗るたびにこの曲聴いてるじゃねえか」
「仕方ないっすよ、途中で止めたら最初から聞き直すってルールなんっすから」
「なんのルールだよそれ、一生最近の歌は聴けねえじゃねえか。って、まあいいや。ニッタ、あの『憑き者』な。ありゃあ今までのとは違うぞ。一応イレイスはしたけどな。ああ、めんどくせえなあ、どうすっかなあ」
運転をするニッタにそう話し、キョーカ・クチガという女性には何か裏があるな、とつぶやいた。
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