第29話 愛の形は人それぞれ。 ~ちょっと待ってええええええええ?!~

 

「よく言った。ごめんね、今の気持ちを知りたかったの。流石優君。ほのか、葛、よく耐えた。流石私の娘達」


 ああ、これだ。

 

 僕達を陰日向で見守って、大切に大切にしてくれた佳奈子さんのいつもの表情。


「愛の形は人それぞれ。優君とほのかと葛が望むなら、私達は全力でサポートしてあげる。とかいい事言ってるつもりのお母さんとお父さん、よく籍を抜いては再婚してるけどね」

「「「え?」」」

「お父さんと私、両刀バイだから。最初のうちはお互いをがんじがらめにしないよう息抜きの時間を作る為に離婚してたけど」


 衝撃。


 僕と、顔を見合わせたほのかと葛も声が出せない。


 な、何なの?!

 そんなん出来るの?!


「お互いが一番好きだって言うのは当たり前。でも私達はいつだって新鮮な気持ちでいたいだけ。私達も好き勝手やってるんだもの。だからアンタ達も好きになさい? 三人で生きる道なんて星の数ほどあるよ?和弘さんと葉月ちゃんも、相変わらずね。本当に望むならって言ってるよ」


 ニコニコと笑う佳奈子さん。

 親父、お袋。

 やっぱり心配してくれてたんだな。


 うん、わかった。


「ほのか、葛。僕、二人と一緒にいてもいいか?全力で一生大事にする」

「お兄ちゃん! ほのか達の方がいっぱいいっぱい好きなんだから! 覚悟してね!」


 泣きながら、顔いっぱいで笑うほのか。


「ほのかと一緒に、優ちゃんが驚くほど大切にしてあげる。サッカーチーム作ろう?」

「それは三人で話し合いましょう」


 昔のように、頬を紅に染めて可憐に笑う葛。


 サッカーチーム、11人。

 めっちゃ大家族。

 僕の、へにょへにょになったりしないか?


「あ。お母さん、今離婚中だからして。三人それぞれの『初めて』が終わったら優君の赤ちゃんの素、受け止めてあげられるわよ? お父さんと同じ大きさで、天を衝く反り! 四人ででもいいから、どお?」

「……はい?」


 え?

 どういう事?


 舌をイヤラシく蠢かしている佳奈子さんに固まる。


「「だめええええええええ!!」」


 絶叫するほのかと葛。


「お兄ちゃん! お母さんえろえろだから近寄っちゃダメ! 夜中にお母さんのえっちい言葉でお父さんがおっふおっふ言ってるの、知ってるんだから! かくなる上は……私達だけにぴゅるぴゅるする誓約書ぉ!」

「あら、二人占めしちゃうの?けちー」


 佳奈子さんがちろーん、と舌を出した。

 ほのかと同じくらい長いぃ?!


 それに、言葉攻めってやつですか?!

 あの精悍な、男らしい武郎たけおさんが、おっふおっふ?!

 

 ……誓約書なんていらないよ。

 今までもずっと大切だった幼なじみの妹分を。


 これからも、もっともっと大切にするよ。

 そんな誓いのキスなら、今すぐにしたいくらい。


「それやったら優ちゃん泣かすわよ? それなら毎晩ほのかと二人で搾り取ってあげる。お母さん、『優君が喜ぶよ? これ』って言ってお風呂で私達を簡単に粗相させるくらいヤバいの。関わっちゃダメ。ほんとダメ」


 うっわ、家庭内百合百合シチュ。


「もう! お母さんばっかり悪く言ってえ!」


 佳奈子さんが頬を膨らませて、体を揺する。


 ゆっさ、ゆさゆさ。

 めっちゃ弾んでる。


 あ、また跳ねた。


 ぽよーん。

 ぽよんぽよん、ぽよん。


 美しい佳奈子さんの美しい山脈が、揺れている。


 いかん!

 見てはいけない!

 佳奈子さん、めっちゃニマニマしてるぅ?!


 罠だあ!

 目を逸らせ!


「そんなに見たら、佳奈子さんの大事なとこがワクワクしちゃうわよ?」

「ああー! お兄ちゃん、お母さんのお胸見てるぅ! ほのかのお胸を見てよ! 感じてよ!」


 ぎゃー!

 ほのか、スウェットの下ぁ!


 下着、付けてないだろ!

 ごめんなさいごめんなさい、押し付けないでえ!


 圧が!

 圧がすごいんですぅ!




 ああ。


 嬉しいな。

 ほのかの温もり。


 後で、いっぱいハグしたい。



 

「ちょっと。私だって日々大きくなってるのよ。美乳って評判なんだから、ぜん私に」


 ぺろーん。


 ぎゃあ!

 十分おっきいじゃないか!

 わかったから、お胸も先っちょも隠しなさい!


 めっちゃキレイだった!

 ツンツンが、ぷくぷくってしてて、ぎゃああああああ!

 

 必死で葛の手を押さえる。

 ついでに自分のお股も押さえる。


 加奈子さんに、僕のムクムクはもう、見せられないよ!




 しっとりとして、モチモチした葛の手。

 嬉しいな。


 ぎゅむぎゅむと、握る手に力を籠める。

 あ、握り返してくれる。


 ぎゅむ。

 ぎゅむぎゅぎゅー。

 嬉しくて、ドキドキする。




 これからは、ほのかと葛を。

 力いっぱい抱きしめる事ができるんだ。

 手を繋ぐ事ができるんだ。


 愛してるって言いながら。


 どんな困難があろうとも、僕の覚悟は決まってる。

 二人の手は、もう離さない。




 

 二人が僕に愛想を尽かすまで、傍にいよう。


 そして。


 愛想を尽かされないように、本気で頑張る僕でいよう。





「お兄ちゃん、葛! 一旦退却ぅ! 対えろえろ結界を張るよっ!」

「えーと、サキュバスには何が効くのかしら……優ちゃん、教えて?」

「お母さんの扱い、雑ぅ?!」


 僕の手を必死に引っ張るほのかと葛に、苦笑いする加奈子さん。


 ほのか、葛。

 大丈夫だよ。


 もう何があっても、迷わない。

 もう二度と、諦めたりしないから。







 でもさ。


 二人とも覚悟してね?

 今度は僕が、すっごいオシオキしたくなっちゃった。


 お兄ちゃんも仕返しに、二人にいっぱいちゅっちゅしたいかも。まずは僕も目隠しグッズ二つ、通販で注文しちゃおっかな!


「お兄ちゃん! お母さんのお胸をえっちい顔して見た罰です! 次のオシオキはすっごいんだからあ! うつ伏せに縛り付けてお兄ちゃんを裏側から観察して、じれじれプレイしてあげる!」


 何その羞恥プレイ!


 あれ?

 え?

 僕のターンは?!

 

「ふふふ、私達専用の赤ちゃんの素をお母さんにぶっかけてたわね。もったいない。憎らしい。悔しい。縛り付けてめちゃめちゃ焦らしに焦らしまくって、とんでもない勢いで私達に出させてあげるわ」


 ちょっと!

 あれは不可抗力です!

 じれじれの後にいっぱい触るからじゃないですか!


「あはは☆お肌がしっとりツヤツヤ、いい匂い♪」

「何か悔しい! ほのかのお顔にもびゅびゅってして!」

「出しなさいよ。早く脱いでぴゅぴゅって出しなさい」


 満面の笑みで自分の頬を摩る佳奈子さんの台詞に、ほのかと葛がし掛かってくる。


 あ、スウェット脱げちゃうよ?!

 下、スース―してる!


 ほのか!

 お胸さんしまいなさい!

 お兄ちゃん窒息寸前です!

 オシオキしちゃいますよっ!


 葛!

 何でお尻半分出してるの?!

 あーん、じゃないからあ!!

 はひぃ?!

 


 佳奈子さん、いつのまに?!

 舌出さないでえ!

 お胸の先っちょ、舐めちゃヤダあ!

 くりくりしちゃだめえ!


 ちょっと待ってえええええええええええ!


 あふ?!


 あ!


 あ。


 あああああああ!!! 


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