第17話 今回のオシオキは有名なゲームだよっ! 〜そしてお兄ちゃんはやっぱりイジられる〜


 何が起こったか、理解できない。


 僕にしがみついて叫んだ後、太ももの上からパタリ、倒れ込んだほのかとかずら


 僕にお尻を向けて横たわる二人に唖然あぜんとしたまま、動画を止める。


 そのパジャマとスエットの、太ももの付け根が。

 僕の左右の太ももが。

 明らかに湿っている。


 こ、これ。

 まさか。


 いわゆる、『いっちゃった』って事?

 えええ?!


 わからないけど!

 動画でしか見た事ないけど!



 二人からの、溢れるばかりの良い匂いと。

 ビックリするほどエロい声と。


 驚くほど熱を放つ、柔らかな肌と。

 僕をむさぼるような、唇と舌。


 途切れ途切れになっていく、甘い息。

 僕の太ももにこすりつけられる、柔らかいお尻!


 やばかった!

 理性が飛ぶ、とはこういう気持ちなのかっ!




(き、気持ちーかった……でも、危なかったあ!起きてるお兄ちゃんのパンツふっつー普通にズリ下げて、ぐっぽむぐっぽむ!ってするところだったよう!お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん、私達が癒し……むむっ……もっともっと、したいお!)


(……ヤバいわね。泣きそうな優ちゃんが私達を見て、『来てくれたんだ……』みたいな可愛い顔といい、優ちゃんの私達へのといい……もう、こすこすだけじゃ全然足りない……何か、いい方法ないかしら)




 二人のエロさに、途中でかちかちになってしまった。

 でも体と心が反応したのは、それだけが理由じゃない。

 今日、二人への愛しさが振り切れてしまうような出来事があったからだろう。


 じゃれつかれているとはいえ、危うく抱きしめるところだった。

、二人の事大好きだ!とか言ってしまいそうになった。


 お兄ちゃんはお兄ちゃんにしか、なれないのにさ。

 ダメだなあ、僕は。


 改めて、思い知らされてしまった。

 僕がほのかと葛を、どれだけ大切にしたいのか。

 どれだけ、好きなのか。

 

 女子の誘いを、強引だからとは言っても断り切れなかった情けない僕を。

 見つけてくれた。


 かばってくれた。

 本気で怒ってくれた。

 

 だから、僕はあんなに似合わない事を……。

 僕より強い二人を、女子相手に庇おうとするなんて。




(明日は日曜日!お兄ちゃんも興奮して、何げに大きくしてた!ほのかと葛であんなにぴゅるぴゅるさせたのに……こんな元気なら、い、一回くらい……それなら、お兄ちゃんをぴゅぴゅってさせて『夢見たの?』って持っていけるし、お兄ちゃんごめんなさい!一回だけえ!明日はいっぱい撫で撫でして、抱き枕になるからあ!)


(とりあえず、優ちゃんをぴゅるっぽーさせて、夢で押し通した方がいいわね。その間に五回くらい優ちゃんで粗相そそうして、その後は私達が我慢して、日曜日も優ちゃんを休ませて。多分ほのかも、私とズレた事を考えていないはず。二人掛かりでも楽しそうね)




 ん?


 二人で目配めくばせをした?

 何か怪しい。


 でも。

 どちらにしろ、先に今日のお礼と、ごめんなさいをしなければ。

 

 が。


 横倒しになった二人を起こそうとするが、なかなか起きてくれない。

 それどころか。


「ほのか、起きて……話が。……何でパジャマの下、脱ごうとしてるの?!」

「えー、にゅるにゅるしてるから、お兄ちゃんと葛の前だし脱いじゃおっかなって。お兄ちゃんお兄ちゃん、ほのかのエム字開脚見たくない?むふふー」

「真面目にお話があるんだって!葛、頼む、起きて」


 体育座りになったほのかが、腰を浮かせてズボンを脱ごうとするのを手で止めてるうちに、葛にも声を掛ける。


 すると。

 四つん這いで僕に、スウェットの下を降ろそうとする葛。


「ちょっと!話があるんだってば、何で君達は下を脱ごうとするの?!」

「だって、ぐっちゃぐちゃで気持ち悪いんだもの。優ちゃんが気持ちよくさせるからいけないのよ?」


 グレーのスウェットを少しり下げて尾てい骨辺りを見せつけたまま、お尻を揺らす葛。


「わー!お尻、隠しなさい!」

「何よ。びちょびちょにさせたの、優ちゃんじゃない」

「そーだよ!私達を幸せにしたいってプロポーズしたくせに、焦らしまくって!」


 プ?!

 プロポーズぅ?!


「待って!何の話?!」

「ああー!絶体絶対!無かった事にしようとしてるっ!かくなる上はっ」


 おい。


「あら、それは酷い話ね。泣かすわよ?」


 ちょっと待って、この流れは。


「待って!まさかこのタイミングで、オシ……」

「オシオキだよっ!」

「オシオキね!」

 

 何でそんなに嬉しそうなんだよ!

 というか、まず話し合おうじゃないか!


「僕、今日のお礼も言いたいし!待ってぇ!」

「じゃあ、お礼はオシオキね☆」

「早くオシオキさせないと、粗相するわよ?」

「何言ってんの?!」

 

 ま、少しくらいなら。

 今日はとにかく、感謝の気持ちを忘れないように。



 視界を塞ぐ、アイマスク。

 タオルで縛り付けられた、手足。


 両手は、腰の後ろで固定されている。

 童話の中の巨人の様に、床に転がっている僕。


 気分はまるで、捕まった盗賊のようだ。


 だが。

 おかしい。

 

 今週、僕こんな夢ばっかり見てないか?

 パトス、ヤバいのか?

 と、とりあえず。 


「や、やっぱりさ。今日の事はすごい感謝してるから、ちゃんと目を見て話、したいんだ。それに、さっきのエロ……えっちっぽい事も含めて、さ」

「今日のオシオキは、すごいわよ?」

「ゲームでくっついてるうちに、ドキドキムラムラする事間違いなし!」

「お兄ちゃんのお話、聞いてえ?!」


 んん?

 そもそも、僕が後ろ手で縛られた状態で密着?

 出来ない事はないというか、体を寄せればいいんだろうけど、何のゲーム?


「さあ、張り切ってね優ちゃん」

「いくよ!ほのかと葛と優也お兄ちゃんの、らっぶらぶ」

「……あ、はい」


 溜めてるし。


 何か怖くなってきたな。

 早く教えて!


「いちゃラブ、ツイスターゲーーーーーーム!」

「ふふふ、ステキなお礼ね」

「…………はかったなあああああああああああ!」



 

 

 

 


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