第18話 ゲームという名のオシオキ ~お兄ちゃん、夢オチ大作戦~

 

 ツイスターって、あれだろ?

 場合によっては組んずほぐれつみたいな、あの!


「ツイスターゲームって密着が多いゲームじゃないのか?!参加した事ないけど!」

「あらあら可愛い事言ってるわね。粗相しながら教えてあげるわよ」

「おおお!じゃあほのかとかずらで手取り腰取り、はむはむ取り教えてあげようではありませんかっ!」

「粗相とはむはむ、多分そのゲームに必要ないよね?!」


 何でエロい表現をしてくるんだよ!

 と、いうかだな!

 

「僕にゲームを覚えさせる前に、お兄ちゃんへの思いやりを覚えろ!何で『泥棒捕まえましたぁ!』みたいに拘束されてるんだよ!」

「あらあら?こんなに大切に思っているのに、わかってないのね」

「そーだそーだ!等価交換として、『いちゃラブ』をよーきゅーする!」


 ぐぅ!


 そんな返しされたら、反論しづらいじゃないか!

 大事にされてるのは分かってるけども!


「はいはい優ちゃん。時間は有限よ?始めましょうか」

「いや、だから!ゲームの前に話を!」

「はいはいはい!お兄ちゃん!ツイスターゲームって親しい人同士がやると、心と体がリラックスできて良いらしいよ?大事なお話の前に、柔らかく整えようよ!」


 なぬ?

 そうなのか?


 確かに親しい人間同士だったら、多少密着しても照れ笑い苦笑いで済むかもしれないし、ネタみたいに笑えたりするのかもしれないし……ん?


 親しい人間に、この格好か?

 何かのプレイの間違いじゃないのか?!


「はい、優ちゃんから。まずは右手を青色」

「目隠しで見えませんが?」

「文句は見苦しいわよ?手ぐらい出しなさいよ、もう。はい時間切れ。オシオキね」

「手がしばられてなきゃ出せたけどな!」


 シートが敷いてあるのさえ見えてないよ!


「もう、しょうがないなあ。お兄ちゃんが可哀そうだから手は前で縛ってあげる」

「『縛らない』という選択肢はないの?」


 だが。


 遊び気分だろうし、今日は窮地を救ってもらったから、強く言いづらい。


 そして、何故か。


 準備運動なのか、『んしょ!』とか『ほ』などと掛け声が聞こえてくる。


 ツイスターゲームってそんなに準備が必要なの?!


「なあ、お兄ちゃんはほのかと葛とお話したいなあ」

「ええと私は……左手はで。優ちゃんまたぐわよ」

「あ、はい」


 スルーかい!

 


 僕は本当に、こうなるとダメだなあ。


 結局はこうして、毎度の如く二人のしたいようにさせてしまう。


 でも、さ。


 僕が、自分よりほのかと葛を優先してあげる事で、二人の笑顔が見れるのなら、それでいいと思ってしまうんだ。




 

(また、お兄ちゃん妄想に走ってる。チャンスだね!)

(そうね。今日は『一口ずつ勝負』はお預けね。短時間勝負、夢オチ大作戦で行くわよ)

(ほのかが『うでたま』さんで、葛が『すりこぎ』さんで行く?)

(交代でいいでしょ?優ちゃんに『今、ほのかと葛のグッズ、どっち?』とか)




 いつか。

 いつか、さ。


” もう、お兄ちゃんは私達に甘々だったよね! ”

” 優ちゃん、今から『お嫁さんになって』とかいう顔しても、売約済みよ? ”


 とか、言われちゃったらさ。


 僕はどんな顔をするんだろうな。

 きっとまたお兄ちゃんぶってやせ我慢するんだろうな。


 ん?

 やせ我慢?




(はあ……お兄ちゃんの気持ちがわかって、カッコいいとこ見せられちゃったから、心も体もキュンキュンだよう)

(今日は我慢ね。私もこの感じだと、するりといけそうだけど……でもここまで来たらここは優ちゃんの意思でとしてもらいたくならない?)

(確かに!)




「はい!ほのかもお兄ちゃん跨ぐね!」


 え?

 しまった、また考え込んでしまってた。


「ちなみに私達は今、グッズを用意した状態でほぼ全裸で跨っております」

「跨っておりまっす!」


 は?

 はああああああああ?!


 


 

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