第13話 ブレイクタイム ~ほのかと葛でお兄ちゃんを癒します②~



 ほのかとかずらがウチから忘れ物を取ってくる、と言って扉を開けた瞬間と、オープンクロッチの検索画面を消したタイミングは同時だった。


 危なかった……!

 

「じゃ、また後でくるから、ご飯楽しみにしててね!」


 僕のドキマギに気づかないままに、ほのかは言った。


「食べたいものはガッツリ系の私?こってり系のほのか?それとも二人同時に美味しくいただくのかしら?私は見た目はアッサリ、でも隠し味の効いたピリ辛ね」

「おおお!お兄ちゃんが起きてる時にしちゃうん………けほっ!ほのかはモッチモチのデザートになっちゃうよ☆」

「ご飯を食べる、という選択肢が全くないよ?!」


 しー!と唇に指をあてた後にその指でほのかの頬をグリグリする葛と、あうー!と変顔をさせられているほのか。


 ホント、普段はどっちが姉と妹かわからないよな。

 相変わらず仲がよさそうで。


 周りから見ると、一見して葛が姉のように振る舞ってほのかを軽く見ているように取られがちだが、そんな事は全くない。


 葛は要所要所で必ずほのかを立てるし、ほのかはほのかでむしろ葛に甘えている節があるんだよな。



(優ちゃん、また何か考え事してるわね)

(そだね!その間に二人一緒で浴槽に入り込んで泡々プレイとか)

(捨てがたいわね)

(……泡々でにゅるりんすっぽーん、て入ったりしないかしら)

(私のお尻ちゃんには『ずっどおおん!』だったよ?いっぱいお星さま見えた)

(ちょっと!どこに入ってもずるい!ほのかばっかり!)

(えっへへー♪葛も頑張ってね☆)



 そして。


 この二人がタッグを組むと、とんでもないパワーを発揮するんだ。

 互いの危機や窮地は絶対に見逃さない。

 双子レベルで意識が繋がっているのでは、と思う程だ。


 どうしようもない場合は相談されたりもするけど、逆に僕が困った時に助けてもらうくらいだし。


 しかし……何でこの二人の相談事は恋愛系ばっかりなんだろう。



 少し年上の男子に振り向いてもらうにはどうしたらいいか、って相談された。

 ずっと友達のような関係だった人と、恋人になりたい友達がいる。

 同じ人が大好きになってしまった女子達はどうしたらいいのかな。

 幼なじみは恋愛対象になるのかどうかって雑誌に載ってたけど、どうなの?


 

 僕も役に立てれば、とは思うんだけど、恋愛した事がない僕にはとてもじゃないが難題もいい所だ。


 むしろ、僕に。

 どうやったら彼女ができるのか教えて、と言いたい。

 僕、このまま彼女を作れずに『賢者』になりそうです。

 30歳迄に経験がないと、一部でそう呼ばれるらしい。


 あ、あと10年しかないじゃないか!

 もう三分の二が!

 三分の二があ!


 

(いけない。優ちゃんの胸の筋肉見てたらムラムラしてきた……)

(目隠しして腹筋ぺろぺろして、ぺろぺろしてぺろぺろしたくなってきた……)

(優ちゃん起きてたら、できるわね。『今ぴゅっぴゅかけたのは、どっち?』)

(うわ!したいしたい!『入れてるのは葛とほのか、どっちでしょう!』とかも言ってみたい!)

(最高ね。でも、ダメダメ。今は優ちゃん回復させないと。これもプレイのうちよ)

(じ、焦らしプレイだね!回復まで我慢してまたびゅびゅー!だね)



 あ、しまった!

 二人の前で考え事をしてしまった!

 ん?何でお互いの身体叩いて盛り上がってるんだろ?



「あら、考え事は終わった?じゃあ私達は忘れ物取りに行って、買い物してから戻ってくるから用事があるなら済ませておいてね?」

「な、なあ。本当に泊まるのか?ここは僕んちじゃないから三人だけなんだぞ?」

「え?だっていつものお泊りだよ?どしたの?」

「大丈夫よ。いつも通り、楽しくお泊り会しましょう」

「そ、そっか。いつも通りなら、まあいっか」


 ゲームで遊んで、お菓子とか食べながら映画見たりして、か。

 僕だけ意識してるかと思うと、恥ずかしくなってきた。

 こうなったらそこはお兄ちゃんとして見栄を張りたい。


「わかった。じゃあ少し買い物して部屋に戻るよ」

 

 そもそも、一緒に寝て二人に興奮した時はないし、ね。

 可愛い可愛い妹分の幼なじみ達なのですから。

 さすがお兄ちゃん、ふふふ。


「あ、優ちゃん。オープンクロッチの画像でぴゅるりん!しちゃダメよ?」

「え?!な、何で?!」

「お見通しですう~!ぷるっ!て出したらオシオキ追加!参号乱れ撃ちだよ!」

「もしぷるぷる出したら……mark3とお尻ちゃんグッズで泣かすわよ?」

「うわ!し、しないってば!!」


 バレてました。

 お兄ちゃん、恥ずかしい。

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