第12話 ブレイクタイム ~ほのかと葛でお兄ちゃんを癒します①~
「……ちゃん」
誰かに呼ばれている。
揺さぶられている感覚に、意識が浮かび上がっていく。
……ほのか?
「お兄ちゃん、起きてー?こんなところで寝てたらお風邪引いちゃうよー?起きないと、この腰のタオルを上げちゃいますよ?ちらっ、ちらっ☆」
「や、やめなさい!」
「あ、やっと起きた!」
腰にかかったタオルを捲ろうと持ち上げていたほのかの手を押さえる。
あ、あれ?
僕、風呂場で寝ちゃってたの?!
風呂場でほのかと……あんな事こんな事したのも夢?!
ほのかは普通に制服姿だし……僕、昨日からムラムラ、ヤバくないか?
何回ほのかと葛で……!
でも、よかった。
夢で。
「お兄ちゃん、まだお風呂入ってる?ほのかがお背中流してあげよっか?」
「い、いや待て!それはダメだ!洗ったから、多分!」
「えー、つまんないのー。スポンジになってあげるのに」
「何言ってるの?!またそういう事を……あ!」
モロに想像しそうになって、湯船に飛び込んで逃げる。
身体と腰がやたらと重い。
しっかりと身体を温めてから出よう。
「優ちゃん、お風呂入ってるの?」
扉の向こうから葛がひょこっと顔を出した。
葛も制服姿である。
あ、あれ?
僕のカーゴパンツを
そこからどこまでが夢なのかわからなくなってきた。
今日は土曜日で?
お風呂入ってたら寝ちゃってて?
葛とほのかが僕の部屋に合鍵で入ってきてて……?
これが現実の部分か。
うん、シンプルイズベスト。
「ほのかとイヤらしい事してないで、早く出てらっしゃいよ。泣かすわよ?」
「し、してないってば!」
「ほのかが、『お兄ちゃんが頭を掴んで何度も突き出してきて、” ほぅら、一滴残らずごっくんしないとオシオキだぜえ?げへへ ”ってほのかの舌にぷるぷるさん何回もごちそうしてくれたよ?』って。ふしだらだわ優ちゃん。ごごごっ」
「ほのかさん!盛りましたね?!夢でも現実でも、そんな記憶が全く無い!」
めちゃめちゃジト目で見られている。
「げへへ、とか多分一回も使った事がありません!」
「今度聞かせてくれてもいいわよ?まあ、顔も疲れてるし、お風呂から出たら肩腰をマッサージしてあげるから」
「夜はほのかと葛で元気の出るご飯、作るからね!」
「あ、ありがとう。確かにちょっと疲れてるみたいだから甘えちゃおうかな」
身体が重いし風呂場で寝てしまうくらいなら甘えよう。
「あ、今日は土曜日だし泊ってくね?」
「あら、いいわね優ちゃん。フカフカしっとりヌルヌルの女子高生抱き枕が二つ」
「ヌルヌルした枕って怖い……って何でだよ!うちに帰れよ!第一、三人分の布団なんか無いってば!」
「だから一緒にって言ってるじゃない。鈍いわね」
「ねー」
「ダメだってば!」
冗談じゃない。
あんな夢を見まくって、エロ動画を見ようとしたところを発見されて。
そんな切羽詰まった時に、こんな美少女二人に囲まれて寝たら正直自信がない。
今はそんな想像をしてもピクリとも動かないけど。
流石お兄ちゃんパワー。
だけど念には念を入れて……!
「そんなの、お父さんとお母さんが聞いたら激怒す……」
あ、しまった。
地雷踏んだ。
「え、だって、お兄ちゃんのうちに泊まってすっごい事してくるって言ってきたし」
「今日初孫作ってくるわね、って言ってきたのに、恥をかかせるつもり?」
「「よよよ」」
「夕凪家ェ……!しかも息ピッタリ!」
そうだった。
攻め方……間違えた。
「そういう訳。ま、イヤらしい事は冗談よ。泊っていくわよ?マッサージをしたら私達で買い物行ってくるから食べたいもの考えときなさいな。嬉しくてびゅるびゅるからぷるぷるになるまで……ん、ん。疲れてる優ちゃんを癒してあげるわよ」
「そーそー!お口の中でお兄ちゃんのぷるぷるが震えるのが嬉しくてついつい……けほけほ。お母さんからお泊り料として食材費貰ってきたし!にっしっし」
あー、ダメだこれ。
二人とも泊まる気満々だ。
合鍵使うのも嬉しいんだろうなあ、秘密基地みたいで。
鍵の件は何か考えるとして、今日は諦めるか。
そもそも、どんな理由があっても。
僕がこの妹分達を本気で拒絶する事なんかできないし、したくもないんだから。
「あ、お泊り用下着無かったら取ってこなきゃ」
「今日はオープンクロッチとか露出の高いのはダメよ?」
「おっけー☆」
紐って、イメージは湧かないけど紐パン?
何てもの穿いてんだよ!
でも、オープン……て何だ?
何かがオープンしていてイヤらしいんだろうけど……。
分からない事は聞くに限る。
「なあ、オープンクロ……?って何?」
浴室から出ていく二人が同時に振り返った。
そして顔を見合わせて、くすくす、とそっくりな顔で笑ってから言った。
「「今度ね(☆)」」
●
浴室のモニターで「オープンクロ」「下着」で調べた僕は、慌てて画像を消した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます