第11話 無限ループってひどくないですか?! ~ほのかが、お背中流します~
ざ、ばああああ。
軽く身体を流した後、
熱いお湯が、足先から僕を包み込んでいく。
「ふううううう……めちゃめちゃ気持ちいいー」
心と身体が、急速にリラックスしていく。
あれから。
●
葛が作ってくれたご飯を食べ、その後はしばらくソファに座ってゲームや動画を見ながら二人でまったりとした。
葛は午後から友達と出かけるとの事で、優ちゃん成分追加ね、と、ここぞとばかりに僕の身体を枕代わりにしたり、気ままにくっついて来たり。
勝手知ったる幼なじみだから、何も言わなくてもお互いのベストポジションがわかる居心地の良さ。
そう。
ずっとずっと家族のように過ごしてきた僕らの仲良し度が、まだまだ健在な事が嬉しかった。
小さい頃は僕も一緒に『お尻枕ぁ!』とかみんなできゃあきゃあ!とはしゃいでたものだが、さすがにほのか達が小学校の真ん中を超えるくらいには、やらなくなった。
あちらからは変わらず好き放題だけれど、毎日成長し続ける多感な妹達と、こちらからは線を引いて。
まあ、線を引いたら引いたで『優兄ちゃん、葛の事嫌いになったの?』と泣かれたり、二人が泊まりに来る回数が半端なく増えたり、と全く意味はなかったけれど。
やっぱりあの二人には甘々なんだよなぁ。
でも、二人がここまで成長したからには、流石に今まで通りは接したらダメだろう。
僕だって、可愛くなったほのかと綺麗になった葛を前に、どこまでも耐えられる自信がないのだ。
まあ、僕に彼女ができるかほのか達に彼氏ができるか。
前者は相変わらず可能性は激底だけど、後者ならもうすぐなのではないか。
その日が来るまでは二人の煽りやからかいに必死に抵抗するしか、ない。
そんな気持ちがあるからか、夢を見て満足したのか、まったりしている時も葛が僕にちょっかいを掛けてきたが、僕は至って冷静にやり過ごせた。
ここはできる子、と声を大にして言ってもいいだろう。
寝言で盛大にやらかしてしまったが、僕の脳内でのみなら、ご愛嬌というものだ。
『く!六回目には時間が足りないわね』と、訳の分からない言葉を呟きつつ渋々とカーゴパンツを履きなおす葛を見て、お兄ちゃんの自制心、スゴイだろ?と余裕を見せれた僕を褒めてやりたくなった。
ふふふ。
現実世界なら、立派なお兄ちゃんなのだから。
でも、アイツ。
僕のパーカーと、トランクスとカーゴパンツ履いてったけど、学校帰りじゃなかったっけ。
まさか、僕を煽りに帰ってくる訳じゃないだろうな!
まあ、今は何故か気持ちに余裕があるから平気か。
流石のお兄ちゃんパワーだな。
ふふふ。
●
ゆったりとした気持ちで、浴室モニターをつける。
よし、よし。
今日は土曜日だからゆっくりと半身浴ができるな。
浴室でテレビや動画が見れるモニターやチューナーの一式は、一人暮らしを始めた時に新しいのを買うからと言っていた夕凪家から譲ってもらったモノだ。
Wi-Fi対応で、ネットにも繋げるから動画も見れる。
初めて浴室で動画を流した時は、長湯して
今は、ぬるま湯で半身浴をするように、ゆっくりお風呂生活を楽しんでいる。
ただ、難点といえば。
自分達にとっては慣れ親しんだものを、僕の部屋のお風呂で楽しめる、という事で、ほのかや葛が長居する時間が増えた事だ。
しかも。
合鍵を勝手に作って持っている事が分かって、僕の知らない間にどれだけ来ているのだろうと思うと眩暈がする。
帰宅したら、お約束のように机やベッドの上に置かれていたり、秘密の隠し場所から消え失せていたり、という悲しい出来事は紙媒体を見ない僕には無縁である。
だけども。
広い浴室の隅にある、大きなシャンプースタンドにそびえ立つ二種類の高級シャンプーやボディーソープ。
ほのかと葛のだ。
徐々に増えている。
アヒルスポンジとか、いつの間にか置いてある。
その隣にちんまりと並ぶ僕のシャンプーや石鹸。
いつのまにか風呂場にまで進出していた、二人の私物。
鍵、返してもらうか変えてもらおうかな……。
でもなあ、夕凪家全体で煽ってくるからなぁ。
ここも、困り物だ。
●
年頃の女子が、幼なじみとはいえ僕の家に
" ポポーン♪『おお、お兄ちゃんまた独り言言ってる、チャンスだね!入浴時間は今、11分!よし!』"
小さい頃からずっと、二人は僕の嫁候補扱い。
だからほのか達も乗り気のままだし、うちの親からも、
『ほのちゃんも葛ちゃんも、お年頃ね!お嫁さんになれちゃうわね。なれちゃうわねー』
『初孫、楽しみだなあ』
と、実家に寄る度に僕の服を握りしめながら語り掛けてくるうちの親。
ないわー。
遊びに行くと、
『優君も、色気づいてきたか!で、嫁はどっち?』
『二人を本気で望むなら、両方幸せにしたげて?』
『ほんそれ』
そんなんばっかりだし。
" ふぁさっ。『お兄ちゃんの、二人で五回ぴゅるぴゅるしたから、キャミとパンツだと足りない?むむむっ』"
そんな訳、ないでしょー。
夕凪家は夕凪家で、何の夢を見ているのだろうか。
そろそろ真面目に受け止めて下さいよ、
僕が、釣り合うわけ無いでしょうに。
可愛くて。
優しくて。
強くって。
涙もろくて。
そしていつも。
顔いっぱいの笑顔で。
大好きなお兄ちゃん!って言ってくれる、ほのかと。
キレイで。
頼もしくて。
強くって
実は甘えん坊で。
そしていつも。
おすましの笑顔で。
私の優ちゃん!って言ってくれる、葛と。
彼女などできた事のない、ゲームとファンタジーとテニス馬鹿でしかない僕が、付き合うなんて。
" 『ぜ、全部行っちゃう?でも、でもでも!流石に全部脱ぐのは恥ずかしい……ひゃう!ぬるぬるしてきた……ほのかでまたムキムキになってくれる?どきどきだよ』"
ないない。
月とスッポンを地で行ってしまう。
ふと、湯船からまた、シャンプースタンドを見る。
ほのかと葛に彼氏ができて。
このアメニティが1セット、2セットと消えていった時。
僕はどんな風に思うのだろうか。
多分、きっと。
寂しくって、でも幸せにしてるかなって。
そんな笑顔をするのではないかと思う。
大切な大切な、妹分達の幸せを願って。
" 『はい、グッズとスマホ持って……こ、これ、ほのか興奮してるのバレバレじゃん!「コリコリさせてんじゃねえよ、ぐへへ」とか上下ぺろりんされたら……はあはあ、お兄ちゃん、してくれないかなあぺろぺろ。そ、そこはワザと、見える様に転んでみたり……?む、無理ぃ!』"
おっと。
感傷的になっちゃったな。
昨日今日、ほのかや葛とかなり一緒にいたからかもね。
身体と頭、洗うかな。
動画で流れる作業用BGMをアップめのモノに変えた。
プラスチックの椅子を足元に動かして座る。
ん?脱衣所に誰かいる?
葛、戻ってきたのか?
「葛なのかー?」
「……!!!お兄ちゃん!ほのかだってば!ひどい!」
「……ん?……ほ!ほのっ!ほのぉ!ほのか?!おい!」
「きゃあ!やっぱり明るいとこ、恥ずかしい!」
扉をガラリ、と開けて入ってきたほのかが、床に怪しげなグッズを放り出して、飛びついてきた。
「コリコリ見ちゃ、だめぇ……」
「何してんだ!押しつけんなー!あうう!」
「だ、だって!見えちゃうもん!」
そういうレベルでは、ない。
必死に肩を押し返すと、尚更しがみつくほのか。
「む、胸が僕に当たってるんだよ!」
「当たってるのはいいのぉ!あ、すっごく固……!」
「しがみつくな!もにゅもにゅさせるなぁ!」
これは、大賢者でも無理だ!
感触も、視覚もヤバすぎる……!
しがみついたほのかの柔らかな胸が、僕にぎゅうぎゅう!と押し付けられている。
脇腹には、お下げでちょこちょこと結んだ小さな頭。
透き通るうなじ、白く華奢な肩と背中、お尻。
目の前で細い腰を、ぐっと反らして突き出している。
そのお尻を見下ろせば、指をきゅうっ!と曲げた足の裏が左右に見える。
腰が震えた。
「お、おっき……葛にぴゅるぴゅる!って何回もされたばっかの筈なのに、すっごい!」
その言葉に、葛との夢を思い出す。
びくびくと、更に立ち上がっていく。
「……えっ!!びくびくと固さが……まさか、葛で?!」
「はあ、はあ……え?」
「……ほのかの、おっぱい」
「くう!も、もうやめて……ダメだよ!」
柔らかい感触に、パトスがせり上がりそうになる。
「気持ちー?えへへ!じゃー……葛の、ぱっくり」
「うあ!ほ、ほのか!ストッ……」
「あー!お兄ちゃん!葛の方がびくびくしてるぅ!」
「はあ、もうイタズラは……ふえっ?」
そんなほのかに、変な声が出る。
体を起こしたほのかが、女の子座りになった。
息を飲む事しかできない。
動く事もできない。
「かくなる上は、オシオキです!ほのかだってもっともっとお兄ちゃんを気持ちく、できますからぁ!」
背筋を、ぴん!と伸ばし。
何も隠さずに、僕を見上げているほのか。
顔も。
二つの薄桃を乗せた、滑らかな胸も。
白いお腹も。
まっさらな太腿も、その付け根も。
ただただ、美しい。
余りの美しさに、伸ばして躊躇った右手。
それがほのかの両手で導かれ、少し尖った場所ごと深く柔らかく包み込まれた瞬間。
「ほのか、ダメ………………あああああ!!」
弾け飛んだ。
「ひょわわわわー!」
その声に、恥ずかしさに、気持ちよさに、後悔に。
愛おしげに僕の体中に唇を添えていくほのかの動きに。
その、甘く可愛く耳元で囁く声に。
震えが、止まらない。
「ほのかのおっぱいで気持ちくなった?ほのかのお腹と大事なとこにぴゅるぴゅる、のっかっちゃったね♪お兄ちゃん、もっと何してほしい?どうしてほしい?」
「ああっ、も、もうやめ……あ!」
遠のく意識の中。
胸先に、体中に唇を寄せられて、呻いてしまう。
一瞬だけ沈んでいた僕がまた、痛いくらいに反り返る。
「ありゃりゃ?……ほのかでこんなにしちゃってぇ、悪いお兄ちゃん。すっごーい……ほのかで興奮してるの?ほのかも、だよ?」
長い舌で、ちろり、ちろりと首すじを舐められ。
「じゃあじゃあ…………」
胸の先っぽを
「いっぱいいっぱい、オシオキ、だよ?」
ほのかの声が、下がっていって。
ちろり、ちろり、ちろり。
ん、あー。
むっ。
「!!!……ほ、ほのっ!ほのか!待って!今、無理無、ああ!」
過敏になっているそこから、震えが走る。
何度も、何度も。
蠢く長い、暖かいものに包まれて。
「あああっ!今は、やめっ?!止め、ううう!」
んーーーーーーーー、ん。
ん、ん、ん、ん!んーーーーー。
逃げようにも、お尻を抱え込まれて、腰を前へと押し出される僕。
ゆっくり、ゆっくり。
絞り出すように、奥底からせり上がってくる、感覚。
「あああ!もう!ほの、かあ!」
「んふ?!!……んーぉ?んーぉっ!!ん!ん!ん!」
僕は結局。
ほのかの掃除で、意識を失った。
●
「……ちゃーん……お兄ちゃーん起きてー。何でお風呂場でおねむしてるのー?お風邪ひきますよー?」
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