第2話 先っちょにこだわりました!


 おっぱいパンって言ったよな……。


 ……いや、いや、聞き間違いかも。

 でっかいパン?酸っぱいパン?


「同級生がね、グッズ持ってきたんだ。温泉地で見つけたらしくて。みんなでおっぱいと揉み比べしちゃったよ!で、もっと大きく作れないかって」


 やっぱり「おっぱいパン」だった!

 揉み比べするなよ。

 僕に何をさせるつもりだよ。


「と、いうか……そんなもん持ち込んで大丈夫なのか?」

「だいじょぶ!私、成績いいし!」


 にひひー、と笑う声が聞こえる。

 おい、その学校大丈夫か?

 僕の母校だけど。


「で、結局パンを沢山焼くには設備が必要だし、市販のパンで作ったの!大きさと、先っちょにこだわりました!」

「見えませんです、目隠しで」

「あ、でも見たらバレちゃうかな。じゃあ、パン自体は難しいから、先っちょのだけでいいよ?問題は、に……三問!制限時間各三分!いくよ!」


 何で、こんなテンション高いんだ……。


 ぱふっ!


「むぐ」


 顔に柔らかい物が押し付けられた。

 やばい!集中しなければ、新たな口実が!


 ……美味しそうなパンの薫りがする。

 先っちょって、ツンツンしたコレの事か?

 味、材料……あ。


「なあ、質問していいか?」

「いーよー」

「味を確かめるってさ、噛んでもいいの?」

「うーん、ダメ。パンの先っちょかわいそうだし。それに噛んだらすぐわかりそうだから、舐めるだけ!」


 僕がかわいそうだとは思えないのか。



 ほのかがふざけて、『あんっ!』とか『えっちぃ……』

などと集中の邪魔をしようとしているが、しばらく舐めているうちにわかった。


「グレープ味のグミに練乳かけてる」

「うっ!せ、せいかーい。まだ一分だよ?!」


 僕の太ももの上で、ほのかがポヨポヨと尻を跳ねさせてる。むしろこちらの方が気になる。


 が、無邪気なだけだ。

 そう思うと、すぐに落ち着く。


 お兄ちゃんのメッキ、メッキ。

 僕は優しく頼れるお兄ちゃんでいたいのだ。



 二問目。


 舐めていると、異様にツルツルしてる事に気付いた。

 舌触りも硬い。

 プチトマト……いや。


「さくらんぼ」

「ふぬぬぬぬ!正、解っ!こんなに邪魔してるのにぃ!」

「邪魔してるとか当たり前のように言うなよ……」


 正直、邪魔っぷりが一回目よりきつかった。


 ほのかの胸あたりにある何かを舐める僕に、至近距離から甘くて可愛らしい声でエッチな言葉を囁いてくるのだ。


 ほのかも慣れてきて、より生々しい声を出しながら、僕の太もも辺りをお尻でグリグリしてくる。


 変な声が出そうで大変だった。


 でも、妹分にそんな魅力を感じてしまったら、そしてこのまま流されてしまったら。


 この心地よい家族のような信頼関係が壊れてしまう。

 ほのか達に嫌われた自分を想像する。


 よし、収まった。


 集中したら意外と簡単だし、早く終わらせよう。


「じゃあ、これで最後!でも、わからなかったらオシオキ追加だよっ!」


 そう言いながら、ほのかがモゾモゾと動いている。

 パンの準備、早くお願いします。

 と、いうか。


「いや、そもそも冤罪なのに追加とか嫌なんですが……」

「却下!それに今回は……勝つ!え、えやっ」


 三回目は頬ではなく鼻先を先っちょで突付かれた。

 同じように口に含んで、モゴモゴと舌を動かす。


「ひあ?!ん!んん!あっ!」


 より強烈になった、ほのかの邪魔を受けながら悩む。


 一回目と同じくグミかと思ったが、練乳を舐めきった後は全然味がしない。

 また、さくらんぼなのか?

 でも、どちらかといえば……うーん。

 噛んだらわかりそうなのに。

 ゆっくりと、味を探るように舌を這わせる。


 噛めないので、唇でキュッ!と挟む。

 やっぱり柔らかみがある。

 詰まるところ、何なんだ?これ。

 

「ん、あ!お兄ちゃん……いじわる!いじ、わるぅ!

わかってるんで、しょ?」


 息も絶え絶えに、臨場感たっぷりに囁いてくるほのか。

 この邪魔ヤバい!耐えられるかな……。

 

 むにゅう!


 んぶ?!何だ?


「お兄ちゃんお兄ちゃん、ほのかのお兄ちゃん……!」


 ガッチリと頭を抱えられて、抱きしめられた?!

 え?

 え?!


 これまさか、まさか、ほのかのおっぱ……?!

 この柔らかくて、大きく顔を包み込むものが?!


「ぷはあ!」


 何とか顔をずらし、呼吸を確保した。

 ほのかの肌?の深くて甘い薫りにクラクラする。


「ほのかのおっぱい……お兄ちゃんだけのおっぱい、もっと好きにしていいよ?お兄ちゃんだけのほのかだよ?」


 くっ!ほのか!

 後がないからって、本気で邪魔してるだろ!


 ヤバい!

 僕のものがほのかのお尻グリグリとニアミスしてる!

 そこに頼む、気付くな、気付かないでください。

 ほのかとかずらに嫌われる、嫌われる……セーフ。

 

 ……待てよ?

 ほのかの胸はこんなに大きくないはずだ!

 さっきも、悪いけど目立ってなかった。

 なら、これはそれ系のグッズだ、読めた!


 僕は慌てて、グッズの先っちょを口で探り当てた。

 この素材が何なのか、舌を全力で動かして探る。

 シリコン?プラスチック?ゴム?

 早く!時間がない!早く!


「あ!あ!だめぇ!や!あ?!何か何か何か!……やだ!お兄ちゃん!変な感じするの!やっやっやっやっ!」


 ほのかの邪魔が半端なくエロくなった。

 声とグリグリで、僕もごまかしきれなくなってきてる。

 

 いや、騙されないぞ!

 ほのか、腰!腰グリグリすんな!小技禁止!

 時間、時間が……!

 先っちょを再度咥えて、高速で動かした。

 

「……!!!」


 どんっ!


 ……えっ?


 高速で動かしていた舌を体ごと引き剥がされた。

 時間、切れか?

 ほのかの荒い息遣いだけが聞こえる中、息を呑む。


 はあはあ、とほのかは息苦しそうだ。

 すう、と血の気が引いていくのがわかる。


「ほのか?!具合悪いのか?!無理して僕を元気づけようとするから!もう大丈夫だ、ありがとうな!どれ、心配しなくていいぞ……ああ!手!目隠し!取ってくれ!ほのか、そこだけ頑張れば、後は僕が!」


 ちゅ。

 ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅ。


 なんだ?顔を指で突っつかれてる?


「おい!ほのか!ふざけてる場合じゃ……!」


 んちゅ。


 ……!!!

 

 え!!!

 い、今の!

 唇の甘くて柔らかいのって、まさか!!!


「ほのかは元気、だよ……優しいお兄ちゃんに、ツンツンの。元気、分けてあげる!」


 ツンツン?

 ツンツ……やっぱり指か!

 ホッとしたような、なぁんだ残念……ではない!


 いつかできるだろう、ほのかの彼に申し訳ない。

 ムクムクとしてしまって危ないとこだった!!


「答え……わかった?」


 しまった。

 それどころじゃなかった!!


 ほのかの蕩けそうな甘い声に息を呑んで、観念した。


「……わかんなかった」

「やったー……ほのかの、かちー……もっとオシオキー」


 そう言ったほのかが、僕に寄りかかってくる。


「お、おい!」

「もーヤバい……お兄ちゃん、お兄ちゃーん……うふふ。ほのかめちゃめちゃコーフンしちゃった……気持ちよくって最後怖くなっちゃった……」

「パンとかアダルトグッズを舐めさせて興奮するとは何事だよ。よくわからないけど、目隠し取ってくれない?」

「やだー……」

「マジか!そういえば、三個目の何だったんだ?」

「ない、しょー……お兄ちゃん大す……」


 すう、すう。


 ほのかの寝息が聞こえ始めた。

 ダイス?

 次はサイコロ?!

 

「おいほのか、嘘だろ?!それに内緒はずるいぞ!」


 ん、んむー。

 

「ちょっと、ほのかさん。目隠しと拘束だけは何とか」


 すぴー。


 頼みますよ、ほのかさーん。


 ……諦めて、ほのかの寝息でも数えて待つか。

 なるべく早く、起きてくれよーもう。

 

 

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