武闘派聖女様

聖女様や悪役令嬢など追放させてスローライフをおくる……という話は追放モノの王道でしょうが、こちらの自他共に認める天才聖女ミーティア様はスローライフどころか、瘴気あふれる魔物との戦いの最前線に飛び込んで獅子奮迅の大活躍！という規格外の聖女様。
このミーティア様の猫の被りっぷりが素晴らしい。どこの世界に聖女の杖を槍のように肩に担ぐ聖女様がいらっしゃるでしょう(ここに１名いらっしゃいますが)。
リオネルも騎士団の皆も、聖女の力以外の彼女の魅力に直ぐに虜。
才能あふれるエリート美女が現場で命の危険も省みずに自分たちの為に汗を流す、まあそりゃ惚れますよね。
リオネルの過去の事情とミーティアの過去はそれぞれに胸の潰れるような内容です。
二人ともよく立派に育ったよね。並の努力ではなかったですもの。
けれどリオネル本人が思うほど、リオネルと彼の家族の関係も悪くないと後半にわかってほっとしました。
聖女を追放する側のボランゾンとグロリオーサも、決して悪人ではない……というか登場人物に悪党は居ない(敵魔術師とミーティアの毒親どもは別)物語なので、精神的にも辛くない。
作品のアイドル魔鳩ちゃんにもたくさんの見せ場が(ミーティアの窮地に駆けつける)あって嬉しい限りです。