一章 手の遺物
15話 目的
水さすようで悪いんだけどとハジメが話に入ってくる。
「結論としてはセイカ…を活かす…生かすということ??」
と言い方からして嫌々そうに言ってくる。ハジメは「まあ、何言っても、咲玖は僕の案は聞いてくれなそうだし、受け入れるけど彼が裏切ろうと殺すし。遺体揃ったら占めるから。」と諦めたかのように一言いったことに私は食いついた。
「!!んじゃ、今は殺さない!?」「殺さない。」
殺さないと聞いて私は安堵したと同時にハジメに抱きついた。
ありがとう!!ただ、感謝を言いたかっただけの咲玖はハジメの顔が赤くなっていることについて気が付かず、離れようとしなかった。「ただし!!遺体が揃ったら、殺すから、違う方法があるなら少しは考えるけど。」とハジメの発言と共にセイカによって剥がされた私は聞き逃さなかった。私はリリー、サノさんの方に向かい耳打ちをし、コソコソとハジメに気が付かないように話した。
「言質とった!!今、言ったよね!?ね??」
「言ったね、私も聞こえた。」「ツンデレ……」「咲玖様、ハジメは本音をあんまり言わないような方なんですよ。」「…なんだよ!!4人して!!言いたいなら、なんかはっきり言えよ!!」
遮るように部屋にあった一番大きい水晶が光を放つ。するとハジメやサノさんは水晶の方に慌てて集まる。水晶を恐る恐る覗くと……霧が晴れたようにとある場所が映りだした。木々が生い茂り川が流れ、遺跡をその場所を守るかのように巨大な大蛇が一際、目を引いた。
「エルフの森の奥、樹海か……」樹海??樹海ってあれか、よくサスペンスドラマとかの序盤で第一発見者が死体を発見するときにあるやつ。
「……エルフの森って今どうなっているっけ??たしか、魔王の植民地だった気がするんだが」「魔王ルナ・イホウンデーの亡き後では族長の血統にあたる孫娘が独立をし、今は指揮に当たっているんだったけ??」と曖昧に回答するハジメにしっかりしてよと言わんばかりの表情をするリリーとサノさんだった。
「……魔王の名前ってそんな感じなんだ。」とぼそっと呟く私の言葉にとリリーは反応した。
「連想では想像できない名前でしょ??」どういう人物だと思った??と饒舌に問うリリーに対して私がびっくりしてあたふたしているとハジメは「それくらいにしてあげて、それよりもさっきの樹海での遺跡の作戦を考えないと。」とハジメは言い、話題は作戦内容に移った。
「まず、あの樹海での遺跡までの道のりの問題だ。」
「道のり。」「あの樹海までに行く安全なルートについてだ。」
自分がわからないので一から説明するとまず、モンスターを統治していた魔王である存在が亡き今の状況では安易に人がいる目の前からひょこっとは上がってこないというのが現状だ。その裏を返してみれば、森の奥深い場所、人の手が入ってこない場所には手強いモンスターが住み着いている可能性があり、迷った知らない一般人が死ぬのが目に見えている。
remains〜扉開けて転移したら…… 芽久檸檬 @jingaizuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。remains〜扉開けて転移したら……の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます