14話 偽の心臓の正体 その3

「あの、2と3の意見も聞きましょうよ。」と私はそれの代わりに言った。


「そうね。2に関するあちきの意見としては、少しだけ3の意見の咲玖ちゃんの意見とほぼ同じかもしれねえけど、2と3の違いとしては万が一にその他の聖遺物を集めた後にありんす。それが例え、私達じゃありんせん人間でありんしたとしても……。」

何者かがセイカを襲撃する可能性があるってことか……。


でも、そんなことが一目分かるのだろうか。セイカが確かに偽の心臓を持っているとはいえ、素人目それを分かることが出来るだろうか。いや、あり得るんだろう…そういう話をするのならば、仮にハジメさんの能力上位互換では無い限り……。


そんなことを考えて私はセイカにあることを言った。

「セイカ、貴方はどう思う??」「……どう思うと言いますと??」

「いや、貴方の話になって全然喋りもしないし、何か意見とかあるんじゃないの??

1つの案で貴方の生の安否が決まるかもしれないのに……」

殺すとか殺さないとか話の案を勝手に出してセイカは否定の一つもしないまま、

今に至るという話だ。



「と言われましても……それを私が言って、どうなるのでしょうか??

確かに私には意思はあります。ですがそれは、

貴方様のような召喚者がいることで私の存在意義が生まれるのです。」

あくまでも私はただの精霊であり、従うためにいる。と言っているように

聞こえた。それが私は物事のどこに怒りを覚えたのかは分からないがムカついた。

ムカついたから暴論を言った。


「んじゃ、貴方は私が死ねって言われたら死ぬの??それでいいの??」

「貴方がそう望むのなら。」「死にたいの?」「死にたくはない」と君のために死ねる的なことを冷静に言ってきたセイカに


何かしらの憤りを感じた。だからと言って道具のように扱われたいという、

彼の気持ちが私の生きてきた人生観の中で共感が出来なかった、

というかしたくない。私は彼の生死の有無を握りたくない。生きてほしいという勝手な私の気持ち、倫理観がまるで違う人と精霊、それが私が彼と意思疎通出来ているか


「貴方が行動をする理由も一緒にいる意味も、

すべての行動において意味が雇い主が’’死なない為’’なんてそんなこと言わないでよ。」「ですが、私は人ではありません。精霊です。」「だから??たとえ、それがどんな人でもセイカを’’お前が選択する義務はない’’、自分じゃない雇い主がそう言ったとしてもそんなこと…言わないでよ。」「周りがそうしているからお前もそうしろ’’と現状に甘えないで。」と自分らしくない言葉を言ってしまった。セイカは目を丸くして、言葉を失った。

そりゃそうだ、主のために戦いの為、死にに行くかもしれない日常で死ぬななんて言われたら言葉を失くすに決まっている。それでも、私は一日くらいの付き合いだが知らない人ではない人が死ぬのは、気分が悪い、胸糞悪い。それが今の自分の気持ちだ。


その言葉を言った瞬間、誰かが笑いだした。

「使役する役職の冒険者としては三流だが人としては一流だな!!」リリーさんだった。

マノさんとハジメさんは急だったようで彼女の大笑いに驚いていた。

徐々に笑う声が落ち着いてきてピタリと止んだ。

そして、リリーさんは言った。

「確かにあちきは精霊のことを尊重してはござりんす。

すまのうござりんした……セイカ。」「いえ、こちらこそ。自分の意見も言わずすみませんでした。」とリリーさんは初めて彼の名前を聞くと

セイカの表情が少し人間らしく、見えたのは私だけだっただろうか??

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