第4章 超国家的事業(Providence and Leviathan)

第32話

28.7.121800

                             特別国際活動教育隊

                       南 スーダン派遣分隊 日々報告

                                第1640号


(1)ヘグリグ

 南スーダンにおける油田最大埋蔵地ヘグリグで武力蜂起が発生。

事態を主導したのは現地武装勢力ではなく、油田警備を担当していた中国人民解放軍超能力兵士十数名の模様。本国とのトラブルの結果、首都ジュバにおける混乱に乗じて原隊を離脱し、油田を占拠したとみられる。


(2)本件への対応

 UNMISS司令部付の中国軍高官劉角慶大佐より非公式の打診あり。現在、中国政府に所属する大多数の能力者は新彊や西蔵に割かれており、早急の対応は不可とのこと。よって、我が国が極秘裏に入国させていたエンテレケイアによる対処を要請された。一三〇〇 陸幕了解。 

以後の対応を国家行政内証機関第十部局・国際活動特別教育隊付ユートピア級暫定モデル四番体へ委任。


(3)現地潜入

 一七○○ 四番体がヘグリグ油田へ到達。超能力者同士の戦闘が勃発。一七三〇 四番体天祐志乃三等陸曹が、リヴァイアサン・システムの使用を申請。一七二五 内閣衛星情報センター承認。一七四〇 四番体の意識喪失。一八五〇 施設炎上。一九五〇 三番体を中心とした救援部隊を派遣。二〇〇〇 四番体の死亡を確認。専用武装を回収。二〇一五 システムに異常が認められ、多用途1号が衛星軌道より離脱したとの情報が入る。施設隊、JAXAへ緊急連絡。二〇三〇 派遣部隊、帰投。四番体のみ遺体を含めて帰投せず。


・首都ジュバにおける衝突は激化。我が国による平和維持活動継続は不可能と思料。

・経済産業省及び資源エネルギー庁に今般の取引結果を共有。

・四番体の現況については、速やかに黒瀬メディカル本社へ通達済み。

・現在、プロトコルの進行に、重大な支障をきたしている。

・リヴァイアサン・システムについては、早期の復旧を関係各省等へ打診した。


         28.7.13 内閣特殊事態対策センター 首席護国官 確認

     

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る