少年たちが紡ぐ、希望への道標

ある日、漣学園高校の生徒600人が勇者として異世界に転移した。

勇者たちは100人規模のパーティに分かれ、魔王を討伐すべくモンスター討伐やダンジョン攻略に明け暮れる。

ある者は何者にも屈しない強靭な肉体を存分に扱い、またある者は精霊に呼びかけ神秘の奇跡を行使する。

勇者たちがそれぞれ華々しい戦闘スキルを行使するなかで、要零音が手にしたスキルはアイテムのなかにダンジョンを作る、というものだった。

直接戦闘に関わることができない零音のスキルは、魔王討伐を急ぐ勇者パーティーのなかでは不要なものだった。

次第に居場所を失い、荷物持ちにまで追いやられてしまった零音はやがて、勇者パーティーを追放されてしまう。

すべてを失った──かのように思われたが、零音のなかには光が残っていた。

貧困街のシスター、貧民街の人々、零音と同じく勇者パーティを追放された者たち。

大小それぞれ、心に傷を抱えたみんなで手を取り合い、零音はアイテムダンジョン──〝ペレ芋ダンジョン〟を創造し、攻略に成功する。

デコボコなメンバーで構成された勇者たちが記す道行きはぜひ、その目で確かめてほしい。

かみや先生の〝好き〟と〝武器〟がふんだんに詰め込まれた一作です!

なにもないところから少しずつ積み上げてゆき、生活の質やステータスの向上を目指し、大人でも諦めてしまうような道のりを迷いながらも進んでいく彼らの姿は、読んでいる私にとって紛れもなく希望でした。

素敵なキャラクターたちが紡ぐ物語はもちろん、込められたメッセージや、知れば知るほど新しい発見のある世界など魅力が盛りだくさんなので、気になった方はぜひ読んでみてくださいねー!

その他のおすすめレビュー

八雲太一さんの他のおすすめレビュー6