鑑賞文

 私はどきどきしながら、説明文を読んだ。


『手』

『 この手は、わたしの同級生の手です。』

『 学生時代に描いたものをリメイクしました。』

『 わたしが見てきた手の中で、いちばん好きな手です。細くて、綺麗で、温かくて、大好きな手です。』

『 本人に会ったら、この絵のおかげでわたしは画家になれたんだよと伝えたいです。』

『20××年 仲島あいか』


 ぽろぽろ、と涙が出た。

 彼女は、まだ私の手を好きでいてくれているのだ。もう何年も会っていないというのに、まだ好きでいてくれているのだ。

『……っ……う、……』

 その事実だけが、嬉しくて、嬉しくて、……。


 ……少しだけ、寂しかった。

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恋の『  』 たちばな @tachibana-rituka

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