祭りの儀式で殺すために、余所から送られてきた子供を育てる。そんな風習のある国で、邂逅し、そして分かたれる少女たちの話。容姿、振る舞い、生と死。対比される二人の少女に、より切なさを覚えました。暗がりから日向を見やれば、明るく生き生きしている貴女が、どうしようもなくあたたかく、色鮮やかで、眩しい。そんな光景が私の胸に焼きつきました。さりげない描写や調理シーンから感じる、この世界の暮らしも魅力的です。また、生活の中にごく自然にとけ込んでいる生と死も仄かに感じられました。
将来神の生け贄として殺されるシギヤは、幼い頃からミカハと過ごし愛情を紡ぎます。そして祭祀の日、ついにシギヤにミカハとの永遠の別れが訪れます。生け贄となるシギヤは、心底己の境遇をつらく思い悲しみますが。一方、見送る立場のミカハの思いは……。たぐいまれなる縄文ファンタジー。「生け贄」で交差する、二人の少女の運命に、涙すること間違いなしです!ぜひご一読ください。