第三章 第129話 決着
――誰もいないはずの校長室側から、ドアが
理由を知っている
ただでさえ、自分たちの
ああだこうだと激論を交わしていた
そして……表情を
――ゆっくりと
その色も、
気のせいか、
彼らの本能が、
しかし、まるで金縛りにあったかのように、誰一人としてその場を動くことが出来ない。
フードの人物は、右手に何かを持っているように見える。
位置的に
「……っ!」
凍りつく、樹。
その人物の右手にあったのは――どうやら人間の頭だった。
しかしよく見れば……
フードの人物は、
掴まれていた男は、ちょうど正面にあった真帆の机に大きな音を立ててぶつかり、そのまま職員室の床に崩れ落ちた。
「きゃああああああああっ!!」
真帆が反射的に立ち上がり、背筋が
後ろでそのあおりを受けた沙織が、声を上げる
床に転がっていたのは――――
ぴくりとも動かない彼は、
ようやく予期していた展開とは違っていることに気付いたオズワルコスと龍之介が、思わず立ち上がろうとした瞬間――――
「
フードの中から、
龍之介には意味こそ分からなかったが、その声に心臓まで止められそうに感じられ、浮かしかけた腰を反射的に戻してしまった。
しかし、シャツとズボンを血で染めて倒れている男が、まさかの
「
真っ青な顔をしたオズワルコスに、フードの人物が冷たく告げる。
そして、転がったまま動かない魁人を
「
「――オズワルコスさん、その人物は何者で……何と言っているのか?」
「……私、分からないです、誰か。言っているは……ミブさん、すぐに治療しなければ死ぬ、です」
「な、何だと……」
常に先手を取り、相手よりも上位に位置することで、
対応を間違えれば、自分も眼前の魁人と同じ道を辿るかもしれない……生まれて初めて、龍之介はこれほど
つまり、プランCを発動した自身が、皮肉にもより大きな力によって問答無用で制圧される結果になったと言うわけである。
「
◇
――そして、およそ十分後。
鏡龍之介、壬生魁人、そして秋月真帆の三名は、学校から姿を消した。
レアリウスのオズワルコスたちと共に。
フードの人物の監視の
校舎の東側で、長屋建設に従事していた者たちだった。
四体もの
引きずられた
職員室に残ったのは、橘響子、花園沙織、不破美咲、如月朱莉、椎奈葵、加藤七瀬、諏訪樹の七名。
そして――――久我純一と英美里は、
英美里はともかく、純一の選択を
純一は、職員室を
龍之介と真帆は、彼に
ただ
純一は次に、残った七人と英美里に向かって、土下座を始めた。
職員室にある四つの島――低学年、中学年、高学年、級外――の、ちょうど真ん中の位置で。
「――いろいろと……すみませんでした……」
この状況で、何をどうすればいいのか。
純一に何か声をかけるべきなのか、どうなのか。
誰も分からずにいる。
すると――
「――本当に、すみませんでした……」
純一の
夫婦そろっての身を投げた謝罪に、一同はますます戸惑い、混乱してしまう。
が――、
「とりあえず、頭を上げてください」
いち早く立ち直ったのは、橘響子だった。
「確かに、お二人に聞きたいことはまだまだあります。しかし、それより先にしなければならないことがあると思いますよ」
そう言って、響子は
◇
学校に残ることになった九人は、それぞれの椅子だけ持って職員室の中央に集まることにした。
人数が減ったこともあって、今まで通りの形だと散らばり過ぎて、何となく話し合いがしづらいように思えたからである。
もっと言えば、大きな戦いを乗り越えて、何だか仲間と言うよりも戦友と言う言葉の方が
椅子で円を作り、
その横に、久我純一が通訳として座っていた。
純一が椅子を用意して「
すっと立ち上がり、口火を切ったのは橘響子だった。
「まずはお礼を申し上げます。状況はまったく分かっていませんけれど、恐らくあなたが私たちを助けてくださったのだろうことだけは、理解しています」
そう言って、深々と腰を折る。
他の者たちも立ち上がり、響子に合わせてお辞儀をした。
フードの人物は黙ったまま。
しかし、先ほど龍之介やオズワルコスたちに
敵意はない……と判断してよさそうだった。
次にどうすればいいのか、響子が少し戸惑い始めたころ、その人物はジェスチャーで一同に座るよう
現れたのは、明るい茶みがかった髪を結いあげて、いわゆるメッシーバン――
生真面目な表情で、彼女は続けた。
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます