第三章 第128話 執行部
オズワルコスに「確保」の合図を出した
言わば、戦後処理である。
とりあえず抵抗勢力は全員、先ほどの
そこで何が
たかが小娘二人、と
未知の組織か何かが関わっていることは、明白だからである。
オズワルコスには事情を伝えてあり、調査の結果、詳細が判明すれば報告するよう話はついているのだ。
ここは日本のように医療が高度に発達しているところではないのだ。
仮に命を拾ったとしても、大きな障害にはなり得ないだろう。
自らの教え子を、直接手を
(……今さらだな)
しかし、彼は障害――あらゆる意味で――の排除という点において、年齢で対応を変えるという考えはもともとなかった。
仕事においても、プライベートにおいても。
そして――――
良心の
いずれこうなるだろうことは、龍之介も
魁人と言えば、そろそろ回復しているだろうと彼は考えていた。
目が
チームで物事を進めるにあたって大切なのは、必ずしもいちいち細かく行動を決めておくことではない。
目的とする結果と方針をはっきりさせておくことなのだ。
状況に応じて、魁人は最善の選択ができる男だと龍之介は評価している。
ただ
そこから目を
久我
オズワルコスもある程度日本語を
すべての利害が一致しているわけではないのだ。
元々彼は、ザハドの食堂で店員として働いている、何とかと言う娘への執着と、
食堂で働く娘については「
しかし、先ほど
確かめなければならないだろう。
――そして、ある意味問題なのは……
秋月真帆は、確かに龍之介のかつての教え子であった。
小学五年生の彼女を担任した時、彼女の父親が職場で起きた不幸な事故のため、帰らぬ人となるという事件があった。
当時、既に十年以上教職に
龍之介は親身になって、真帆のケアに努めた。
別に何か後ろ暗いものがあってのことではなく、純粋に仕事として。
その甲斐あって、非常に落ち込んでいた彼女も立ち直ることが出来たのだ。
元々龍之介は、真帆も含めた教え子たちからは
その心情は龍之介にもよく理解できたので、差し
それから十年以上
これもただ単純に、偶然の産物である。
龍之介は最初、どこかで聞いたことがある名前程度の認識だったが、職員室で
彼女がかつての教え子であるということを。
実際に直後の挨拶で、真帆は何ら
彼女が
教師としてのアドバイスを龍之介に頼ったりせず、自身の指導教諭である
歓迎会や運動会など行事の打ち上げがあっても、酔いに任せてべたべたするような真似もせず、かと言って不自然に距離をとるわけでもなく、笑顔を浮かべながら懐かしい思い出話に花を咲かせたりするのである。
立派な若者に育った――――龍之介を含め、周囲の評価はとても良好だった。
そしてそれは、この
少なくとも、
しかし龍之介には、彰吾が何を知ったのか分からずにいた
その感情を努めて
――私はどんな時でも、鏡先生の味方です……と。
今でも彼女の心の
推測することは出来るが、それを元に行動するつもりもなかった。
ただひとつ確かなのは、真帆は、魁人や純一のように自分と利害で繋がっているわけではなく、龍之介のしたことを知った上で、何の見返りも求めることなく、納得ずくで従っているということである。
職員室が転移した原因の
しかし真帆だけは、仮にそれを知ったとしても何も変わるまい――と、龍之介は
いずれにしても、自分より二回りも年下である真帆のことだけは、これからどう扱っていくべきなのか、今ひとつ確固たるものを持てないでいる龍之介なのだ。
(……ん?)
今後のことを考えながら、つい思考に沈んでしまっていたが、大して時間は経っていないはずである。
時間にして、ほんの数秒と言ったところだろう。
何とも取り留めのない回想をしてしまったが、
――――――カチャリ。
校長室へ
そして、扉が音もなく
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