第三章 第107話 天声会議 ―5―
「ふむ、なるほど……」
アクセリオ・インメルバルツは、
そして、彼が次に発した
「ハンブレーウスよ」
「何でしょうな」
「カルヴァレストの
「なっ! 何ですとっ!?」
自分と同じ側にいるはずのアクセリオのまさかの台詞に、アーラオルドが
先ほどまでのように狂う余裕?すらなく、限界まで
そんなアーラオルドの
「
「……」
「しかし
「もう忘れたかインメルバルツ。私は、
「言っておくぞ、カルヴァレスト。
「……」
「貴様が今後何を言おうと、どんな
イングレイとしては、元々予想出来たアクセリオの
そして、
政敵とも言えるアクセリオから、
しかし、ほっとした気持ちをおくびにも出さず、
「どうしても出来ぬか、インメルバルツ」
「くどいぞ、カルヴァレスト。貴様こそ、
「無論だ」
答えながら、イングレイは「何とか」を具体的に
尋ねられれば、それなりに説得力のある、しかし絶妙に濁した返答をするつもりではいるが、実際に彼がリューグラム
アクセリオが
話の文脈から考えて、彼が望んでいる「何とか」とは、当然領主リューグラムが表立ってレアリウスに敵対しないことを意味しているに違いない。
それについては何とでもなると、イングレイは考えていた。
「財務的にも、ぜひその方向で進めてもらえると助かります」
「うーむ……『
カミレヴィーラ・エルヴェスタムの涼しい声が割り込む。
ヴラキュール・フレイヴァローアも、難しい顔をしながらではあるが、話の流れを消極的に肯定するようだ。
四面楚歌に
視線が合ったイングレイは、とどめのひと言をアーラオルドに告げる。
「
とは言え、二度目の入手が言うほど簡単なはずがないだろうことは、イングレイも承知している。
しかしそんなことは、その時に考えればいいことなのだ。
アーラオルドの研究者としての
とにかくここは、彼には何としても穏便に
アーラオルドの顔色は、青くなったり赤くなったり、イングレイの顔を
イングレイとしては視線を外すわけにもいかないように思え、そのまましばらく睨み合った二人に対して、他の三人が微妙な表情で成り行きを見守る時間が続く。
――口を
「……いいでしょう」
アーラオルドはそう言うと、イングレイから静かに視線を外して席に着いた。
先ほどまでの様子が嘘のように落ち着き払った
「いい、とは?」
「今さらずいぶんと
毒を含めながらもさらりと言ってのけるアーラオルドは、
客観的には、アーラオルドは
しかし
(……油断すまい)
とは言え、臨時の
――結局、イングレイが大いなる覚悟を
しかし、
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