第三章 第106話 天声会議 ―4―
「『
アクセリオ・インメルバルツの
どうやらヴラキュールの持つ
もちろん開戦当時の部門長は、アクセリオの前任者だったが。
そこには、遥か昔にエレディール王家のとある
ゼレナヴィエラは、その
そして長い時の中で、いつしかゼレナヴィエラはエレディールの属領の一つとなり、その際に
――と言うのが、現在エレディールに伝えられている、メリディオ島の
少なくとも
しかし、ここで少々不思議なことがあるのだ。
歴史と言うのなら、エレディールには「
それにも関わらず、メリディオ島に関してはその出来事の一切に
どの歴史書を
そう言う意味では、まるで
――そして、問題の「
現在、一般に伝わっている情報は――――
・五十年ほど前に、謎の
・謎の民族は、異様なほどに
・追い出された人たちは
・
――というものである。
内容自体に間違っているところはない。
しかし、よく考えれば首をひねりたくなる表現がある。
それは「追い出された」という部分だ。
戦争と言うには、何ともしっくりこない説明である。
現在、特に疑問を持たれることもなく流布しているこの話だが、当時のアクセリオとイングレイの前任者たちは、当然
そのため、さらなる詳細を得るべく突っ込んだ調査を進めており、一般には伝わっていない情報を手にしていた。
それは、前任者たちをなかなかに困惑させるものだった。
まず、謎の民族――いわゆる「
その内容までは分かっていない。
しかし、最初から武力をちらつかせるような物騒なものではなかったようだ。
さらに言えば、ゼレナヴィエラ領主と
恐らく「白き人」との交渉について、王家の意向を確かめる意図があったものと思われるが、その際にも特段、
ところが、その
何らかの交渉が決裂したと見るべきなのだろうが、唐突に手のひらを返したようなゼレナヴィエラ側の態度に、「白き人」側は困惑しつつも、一旦は大人しく従ったらしい。
しかし、それからしばらくして再び彼らが現れ、ここからは広く知られているように、「白き人」たちはゼレナヴィエラの住人たちを
その追い出し方が何とも不思議で、武装していた兵士はもちろんのこと、住人たちもいつの
「白き人」たちは一切武力を用いずに、首都トラセスキムを始め、古都ミーリア、そしてゼレナヴィエラにあった全ての町に住む人々を、近くにあるモーラという島に移動させたらしい。
「ゲーゼスの名は、
アクセリオ・インメルバルツは、ヴラキュール・フレイヴァローアの問いかけに答えるように続けた。
「しかし真実が伝わる
「その通りだ、インメルバルツ」
イングレイ・カルヴァレストは
「しかしカルヴァレスト、かのアルド・ゲーゼス
「確かにそうだ、インメルバルツよ。しかし、お
「無論だ。
「ならば、その眉唾ものの方法に心当たりがあるのではないか?」
「何だと? ……いや、そうか。それこそ『
アクセリオは気が付いた。
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